こどもの本
月刊「こどもの本」は、日本児童図書出版協会発行の月刊誌です。
当協会に参加している児童図書出版社41社の新刊情報や、児童書にまつわるエッセイや評論をお楽しみいただけます。

表紙のことば・うちむらたかし
ヘミングウェイの短編「二つの心臓の大きな川」は、なぜ面白いのかわからないまま、何度でも読んでしまう文章です。
歩き疲れた主人公が松の木陰に横になって、そのまま寝てしまう場面があります。目覚めると体の節々が痛くなっていて、日は落ちかけている。眠りに落ちるまでの気持ちよさそうなこと! そして目覚めたときの焦りの混じった寒々しさ。
自分が細部まで真に知っているものを書いた、と著者は後年、語っています。精神と身体を対象にどっぷり浸して書いた文章。面白さの秘密は、そのあたりにある気がします。
内村尚志
幼少期を豪州で過ごす。大学在学中に仏語、西語、独語を習得。2016年にクレヨンハウス絵本大賞で優秀作品賞受賞。絵本の最新作は『くるまね? でんしゃさ!』。
https://www.takfrog.net/
2023年6月1日発行
定価(本体150円+税)
ISSN 0385-0463
月刊「こどもの本」
2023年6月号
心にのこる一冊
ゴースト・ドラム 北の魔法の物語 深緑野分
私の新刊
ある日の庭日記⑥ 大野八生
●最終回(心惹かれる不思議な昔話の世界⑥)
昔話に見られるさまざまな結婚 黒川麻実
新聞書評に紹介された本
絵本編集者に聞く⑪
筒井大介さん(野分編集室) 小野 明