日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私の新刊
『うちのピーマン』 川之上英子、川之上健

(月刊「こどもの本」2024年7月号より)
川之上英子、川之上健さん

読み聞かせにぜひ!

『うちのピーマン』は、野菜炒めを作りたいお母さんと、切られたくないピーマンのやりとりをユーモラスに描いたお話です。どうにかして切られまいと、スーパーマンの仲間のピーマンだ、と大きく出たり、面白くて、もうぼくを切れませんよ、と漫才をはじめるピーマンくん。ノリを汲みとってくださった柴田ケイコさんの超チャーミングな絵をぜひ!!見ていただきたいです。

 絵本にも色々ありますが、中でも私たちはできるだけ読み聞かせに向く絵本を作りたいと思っています。ふたりで共同制作をしているので、アイデアを出し合います。ご家庭で、お子さんに「もう1回読んで」と言われ、読む側も「面白く読んであげよう」と、ひと肌脱ぎたくなる絵本。保育園や幼稚園、小学校の読み聞かせでも頼りになる1冊、が理想です。それはデビュー作の『おおやまさん』(岩崎書店)から変わらず、『うちのピーマン』の次に出版された『ぼくのおかあさん 2ねん1くみすぎしたげんき』『にんじゃ きくんじゃ でんごんじゃ』(以上アリス館)も同じです。未来を明るくしたかったら、まず子供たちを笑わせることではないか、という気持ちで作っています。

 最近は文章を担当することが多いのですが、それは、すばらしい絵を描く方と組んで良い絵本を残したいからです。常々、日本の絵本のポテンシャルは、昔の作品も含め、すごいものがあると感じています。少々B級めいた私たちの作風からはイメージしにくいかもしれませんが、日本の絵本が、海外からも、もっともっとカッコイイと思われて、鉱産資源のように、これも貴重で有益な日本の財産だ!とみんなが思えるようにしたい、などと壮大なことも、実は、思っているのです。

(かわのうえ・えいこ、かわのうえ・けん)●既刊に『ぼくのおかあさん 2ねん1くみすぎしたげんき』『にんじゃ きくんじゃ でんごんじゃ』など。

『うちのピーマン』"
アリス館
『うちのピーマン』
川之上英子・健・文/柴田ケイコ・絵
定価1,650円(税込)