日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私の新刊
『ごちそうさま』 accototoふくだとしお+あきこ

(月刊「こどもの本」2023年10月号より)
accototoふくだとしお+あきこさん

感謝を込めて「ごちそうさま」

 2021年に『いただきまーす』という絵本を出版させていただきました。「この魚はどこからやってきたの?」男の子が料理をしているお父さんと一緒に、魚のたどってきた道を想像する絵本です。

 スーパー、魚市場、漁師さん、その前は海。魚は自分よりも小さな魚を食べ、小さな魚はもっと小さな魚を食べて……その全ての「命」が、私たちの体の一部となって共に生きているように感じ、その分も精一杯生きていけたらいいなぁ、との思いを込めて作りました。

 そして今回、『いただきまーす』と対になる絵本『ごちそうさま』を作りました。この絵本では、主に食べ物(食材)を作ってくれた人にフォーカスしました。

 私たちが、食事の後に言っている言葉「ごちそうさま」の馳走(ちそう)とは、もともとは「走り回る」という意味で、一昔前の人は、あちこちに駆け回って食材を用意し、大切なお客をもてなしていたそうです。それはそれは大変な苦労だったと思います。

 今はスーパーに行けば、いろいろな産地の様々な食材を手に入れることができます。ネットでポチッとするだけで、いとも簡単に買えてしまいます。あまりにも簡単なので、つい忘れがちになってしまいますが、全ての食材の向こう側には、生産者がいて、みんな、手間暇をかけて作ってくれたことでしょう。たくさんの時間がかかったかも知れません。悪天候や、私たちの知らない苦労も沢山あったかもしれません。

 今晩の食卓のお肉は? 野菜は? 卵は? お味噌は? どんな人がどうやって作ってくれたのかな?

 そんな風に生産者のことを考え、食に興味を持ってもらえたら、いつもとちょっと違った食卓を迎えられるかもしれません。食べ物の命、料理をしてくれた人、そしてその食べ物(食材)を作ってくれた人への沢山の感謝を込めて、「ごちそうさま」

(あっことと ふくだとしお+あきこ)●既刊に『いただきまーす』『うしろにいるのだあれ』『なに まってるの?』など。

『ごちそうさま』"
大日本図書
『ごちそうさま』
accototoふくだとしお+あきこ・作
定価1,430円(税込)