
感謝を込めて「ごちそうさま」
2021年に『いただきまーす』という絵本を出版させていただきました。「この魚はどこからやってきたの?」男の子が料理をしているお父さんと一緒に、魚のたどってきた道を想像する絵本です。
スーパー、魚市場、漁師さん、その前は海。魚は自分よりも小さな魚を食べ、小さな魚はもっと小さな魚を食べて……その全ての「命」が、私たちの体の一部となって共に生きているように感じ、その分も精一杯生きていけたらいいなぁ、との思いを込めて作りました。
そして今回、『いただきまーす』と対になる絵本『ごちそうさま』を作りました。この絵本では、主に食べ物(食材)を作ってくれた人にフォーカスしました。
私たちが、食事の後に言っている言葉「ごちそうさま」の馳走(ちそう)とは、もともとは「走り回る」という意味で、一昔前の人は、あちこちに駆け回って食材を用意し、大切なお客をもてなしていたそうです。それはそれは大変な苦労だったと思います。
今はスーパーに行けば、いろいろな産地の様々な食材を手に入れることができます。ネットでポチッとするだけで、いとも簡単に買えてしまいます。あまりにも簡単なので、つい忘れがちになってしまいますが、全ての食材の向こう側には、生産者がいて、みんな、手間暇をかけて作ってくれたことでしょう。たくさんの時間がかかったかも知れません。悪天候や、私たちの知らない苦労も沢山あったかもしれません。
今晩の食卓のお肉は? 野菜は? 卵は? お味噌は? どんな人がどうやって作ってくれたのかな?
そんな風に生産者のことを考え、食に興味を持ってもらえたら、いつもとちょっと違った食卓を迎えられるかもしれません。食べ物の命、料理をしてくれた人、そしてその食べ物(食材)を作ってくれた人への沢山の感謝を込めて、「ごちそうさま」
(あっことと ふくだとしお+あきこ)●既刊に『いただきまーす』『うしろにいるのだあれ』『なに まってるの?』など。
大日本図書
『ごちそうさま』
accototoふくだとしお+あきこ・作
定価1,430円(税込)