日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私がつくった本66
金の星社 池田真純

(月刊「こどもの本」2015年9月号より)
NHKノージーのひらめき工房 ノージーのひまつぶしブック

NHKノージーのひらめき工房 ノージーのひまつぶしブック
NHK「ノージーのひらめき工房」制作チーム&tupera tupera/作
2014年12月刊行

 〝ひまだなぁと おもっている そこの キミ。この ほんを ペラペラと めくってごらん。〟
 こんな誘い文句がついたこの本は、タイトルの通り、「ひまつぶし」にぴったりの本です。電車に乗っているとき、人を待っているとき、とにかくひまなとき─退屈な時間をワクワク楽しい時間に変えてくれます。

 この本は、NHK Eテレで放送中の人気工作番組「NHKノージーのひらめき工房」からうまれました。番組プロデューサーの佐藤正和さん、アートディレクション担当のtupera tuperaさん、デザイナーの岡田善敬さんがチームとなり、様々なおもしろいアイデアを出し合いながらできあがっていく過程は驚きの連続で、本当にワクワクさせられました。〝子どもたちのひらめきを大切にする〟という番組のコンセプト通り、子どもたちが自由に発想し、自分らしさを出せる本になっています。

 自由に落書きするページ、オリジナルのゲームを楽しむページ、考えて描くページ、きれいな写真を眺めるページなど、ひとつとして似たようなページがありません。たとえば、番組の人気キャラクター、クラフトおじさんの顔に髪の毛やひげを自由に落書きするページ(写真は私が書いた落書きです)、美術館に並ぶたくさんの額の中に絵を描いて、自分だけの美術館をつくるページ、絵の上に雑誌や包装紙から好きな模様を切り取ってコラージュするページなど、本当に盛りだくさんなのです。

 本のつくりにも色々な工夫がされています。本に落書きしやすい画用紙のような紙を採用し、なるべく開きの良い製本様式にしました。tupera tuperaさんの原画は、はり絵で作られているのですが、どれもとても鮮やかでかわいらしい原画です。画用紙のような紙はインクが沈みやすく、どうしても暗い印象になってしまうため、少しでも原画の印象に近づけるよう、何度も色校をとりました。

 装丁は、「ひまつぶし王国へのパスポート」というイメージで、デザイナーの岡田さんが上品で洗練されたデザインに仕上げてくださいました。本文のデザインにも、岡田さんのアイデアが随所に散りばめられています。空や水たまりなどの美しい風景写真は、ぼーっと眺めるだけでもいいですし、風景の中に岡田さんオリジナルの〝ひらめきフォント〟の文字が隠されていて、探して遊べるようにもなっています。

 発売以来、「子どもが夢中になって、電車でも家でも、この本で遊んでいる」「子どもだけでなく、親もいっしょになって楽しめる」など、たくさんの声が届いています。子どもたちが遊んでいるうちに、色々な刺激を受け、創造力を養える、プレゼントにもぴったりの本です。