日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私の新刊
『センシュちゃんとウオットちゃん ながいたび』 工藤ノリコ

(月刊「こどもの本」2015年7月号より)

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<img src="/common/uploads/2015_07/watashi05_1.jpg" alt="工藤ノリコさん" align="left" hspace="10" />
<h5>四季を旅する センシュちゃんご一行</h5>

『センシュちゃんとウオットちゃん』は、小学館の雑誌「おひさま」にて毎回短いページ数で読者に楽しんでもらえるストーリーを考えていたのですが、ある年度が始まる折に、なにか新しいチャレンジをしてみたくなりました。これまでは一話完結のストーリーだったのを、短い話だけれど毎号続いていくようにしたら…と思いつき、センシュちゃん一行が風呂敷を背負って旅に出る姿が浮かびました。ロードムービーのようにセンシュちゃんたちが移動していったら面白そうと思ったのです。

また時間的な経過、四季の移り変わりも『移動』だなと思いました。「おひさま」は隔月発売なので年に六話になり、四季の変化を描くのにちょうどいい間隔でした。新年度のスタートする4・5月号で『春』、6・7月号で『梅雨・初夏』、8・9月号で『盛夏』、10・11月号で『秋』、12・1月号で『冬』、2・3月号で『冬から初春へ』とイメージしてお話を組み立てようと決めると、散歩をしていても、自然と四季の変化に注意がいくようになりました。いつもの散歩道には自然がたくさんあるので、若竹の季節には竹のお話が思い浮かび、寒い冬の終わりがみえてくる季節には春の兆しのお話が浮かんできました。このように自然界のリズムとともにお話を考えるのは初めてでした。

また季節の変化に加え、『春=早朝』『初夏=午前中』『盛夏=午後』『秋=夕方』『冬=夜』『初春=夜明け』のように、時刻の移り変わりも合わせて考えてみると、季節と時刻のサイクルがお話全体にある秩序とリズムをもたらし、自分にとって、とても気に入った、満足できる世界が生まれました。長年に渡りセンシュちゃんを一緒に作ってきた担当編集の方が俳人であることにも影響をうけていると思います。さらに単行本化にあたり、敬愛するブックデザイナーの名久井直子さんに素敵にデザインしていただけて、自分へのご褒美のような一冊になりました。

(くどう・のりこ)●既刊に『センシュちゃんとウオットちゃん おやつのくに』『ペンギンきょうだい バスのたび』『ジャングルの王さま』など。

<img src="/common/uploads/2015_07/watashi05_2.jpg" alt="『センシュちゃんとウオットちゃん ながいたび』" />
小学館
『センシュちゃんとウオットちゃん ながいたび』
工藤ノリコ・作・絵
本体1,300円