日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私の新刊
『そらまめくんのあたらしいベッド』 なかやみわ

(月刊「こどもの本」2015年7月号より)
なかやみわさん

九年ぶりの「そらまめくん」

九年ぶりに、絵本「そらまめくん」シリーズの新刊『そらまめくんのあたらしいベッド』を刊行します。前作から、九年も経っていたなんて、自分でも、驚いてしまいました。しかし、絵本の良いところは、年月が経過しても、色あせることなく、長く読まれるところです。もちろん長く読まれるものは、完成度の高い、質の良い絵本に限ったことですが、九年経っても、こうして「そらまめくん」の新刊を描かせていただけたこと、そして「そらまめくん」の新刊を待ち望んでくれる読者がいるということに、心から感謝しています。ですから、今回の新刊も既刊本に負けないよう、気合いを入れて描きました。

今回の新刊は、私にとっても久々の「そらまめくん」です。懐かしい気持ちより、新たな気持ちで「そらまめくん」を描きたいと思いました。実はタイトル名の『そらまめくんのあたらしいベッド』というのは、私のそういう思いからついたタイトルなので、今回は、お話の前にタイトルのほうが先に浮かんでしまいました。そのため、タイトルに合うお話を考えるのがとても難しかったです。(通常は、タイトルは最後に考えます)でも、この作品に関わってくださったスタッフの皆様にたくさん助けていただき、納得のいく作品に仕上げることができました。おかげさまで自信を持って、新刊を読者の方へお届けできます。

こうして、絵本が完成すると、達成感と嬉しさが同時に込み上げてくるのですが、それまでの道のりは、かなり苦しいものです。私は、絵と文の両方をやりますが、創作の中で一番苦労するのは、お話を考えることです。お話作りに、かなりの時間がとられます。良いアイデアが浮かばず、なかなか作業が進まない日が続くと、いつも自己嫌悪に陥ります。真っ白な原稿を目の前にして「今日もダメだった……。また、一日を無駄にした!」という気分で一杯になるのです。でも、本ができあがると、そんな気持ちも忘れてしまうのだから不思議ですね。

(なか・やみわ)●既刊に「くれよんのくろくん」シリーズ、「どんぐりむら」シリーズ、「こぐまのくうぴい」シリーズなど。

『そらまめくんのあたらしいベッド』
小学館
『そらまめくんのあたらしいベッド』
なかやみわ・さく
本体880円