
ほしいもマン
あきやまただし/作・絵
2014年9月発行
『はなかっぱ』や『たまごにいちゃん』、そして弊社発行の『なめれおん』など、魅力的なキャラクターを数々生み出している、あきやまただし先生。次回作を心待ちにしていたところ、ついにラフが届きました!
あきやま先生のラフは、実際の絵本を四分の一ぐらいに縮小したサイズで、とてもかわいいのです。わくわくしながら手にすると、タイトルは『ほしいもマン』。干しいもが主人公ではありませんか!
私事ですが、わたくし、干しいもが大好物です。子どものころ、いつも干しいもをかじっているので、家族から「いもねえちゃん」と呼ばれていました。
さっそく読み進めてみると、とてもおもしろい!そして、深い意味が込められていました。
おいもくんが野原を歩いていると、ぶたさんたちが大ゲンカをしているのを発見。おいもくんがケンカを止めようとしても、はじきとばされて相手にされません。「こうなったら、あれしかない!」。おいもくんは「ほし」(星)のバッジを胸につけると、「ぴかっとへんしーん!」。体からシューーーーッと蒸気を出して、みるみるしぼんでいくのです。
ヒーローと言えば、一般的に変身すると格好良くなったり、強くなったりします。でも、ほしいもマンは逆です。しわしわになり、目もショボショボのおじいちゃんになってしまうのです。そして、ケンカをしているぶたさんたちの真ん中に、「どっこいしょ」と座り込みます(笑)。これでは、ぶたさんもはじきとばすわけにはいきません。
そして、ケンカのわけを、ぶたさんたちがスッキリするまで、「ほうほう、ほうほう」と相槌を打ちながら、とにかく聞いてあげるのです。
私はラフを読みながら「傾聴」という言葉を思い出しました。傾聴とは、カウンセリングなどで大切にされている、相手の話を聞く態度のことです。ポイントは、自分が聞きたいことでなく、相手の話したいことを肯定的に聞くこと。そうすると、相手が自分自身で問題に気が付いて、解決法を見出していくのだそうです。
すごい! ほしいもマンは、傾聴の達人ではありませんか。
あきやま先生に、「出版させてください!」と、すぐにお返事したことは言うまでもありません。
私もそうですが、子育て中のお母さんは、ついつい、子どもの話をじっくり聞けなかったり、ケンカを強引にやめさせたりしてしまいます。そんなとき、ほしいもマンみたいに、「ほうほう、ほうほう」と話を聞いてあげられたらどんなにいいでしょう。
いつか、ほしいもマンのようなお母さん(いも母ちゃん?)になりたい。今、そう思っています。