日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私がつくった本57
大日本図書 山本陽子

(月刊「こどもの本」2014年8月号より)
ぼくはめいたんてい

ぼくはめいたんてい(既刊5冊)
マージョリー・W・シャーマット/文
マーク・シーモント/絵、小宮 由/訳
2013年10月~刊行中

「ぼくはめいたんてい」は、パンケーキの大好きな男の子ネートが、身の回りで起きる事件を、見事な謎解きで、解決していく楽しいお話です。日本での第一作は、三十年ほど前に刊行されていますが、一度読むとはまってしまうこと間違いなし! 「おもしろくて、シリーズを全部読みました」という声を(特に小学生の男の子より)何度もいただいているシリーズです。

 そのシリーズのうち、数冊、未訳の原書が手元にあり、読んでみるとやはり面白いのです。アメリカでは、現在二十五作品を超える人気のシリーズですので、早速、未訳の原書をすべて取り寄せ、マーク・シーモントさんの絵であること、謎解きが面白いことなどを条件に五冊を選び出し、このたび約十年ぶりに、新たなネートの登場となりました。

 今回も、既刊と同様、登場人物は増えませんし、舞台も変わりません。でも、それがこのシリーズの良さだと思うのです。ネートの相棒の犬スラッジ、アニーとアニーの犬でするどい歯のファング、変わり者のロザモンドと四ひきの黒猫たち、すぐに人についてきて離れないオリバー、いつもなくし物をするクロードなど、個性豊かな友達の面々が、日常の生活にあるちょっとした事件の解決を依頼しに、ネートのところへやってきます。

「このじけん、ひきうけよう」

ネートは言って、事件を追い始めますが、その事件や謎解きのリアリティに、子どもたちは、いつでも自分を同化して楽しめるのではないかと思います。

 刊行にあたり、訳者の小宮由さんが、既刊を読み込んでくださり、シリーズの持ち味である小気味よさを生かしつつ、新鮮で素晴らしい訳をつけてくださいました。更に、今回、「アルファベットの文字あそびを、平仮名で考えてほしい」といった無理難題も、お話の面白さを損なうことなく、見事に解決してくださいました。

 読者の方より、「ネートの続きは、でないんですか?」というお問い合わせをいただいていたのも、続刊を刊行する大きな後押しとなりました。子どもたちに、より楽しんでもらえるようにと、登場人物紹介やパンケーキのレシピなど、おまけ頁も新たに加えています(パンケーキは、ネートが事件の手がかりを考える時に必ず食べるものです)。また、キャンペーン用に探偵バッジや手帳も用意しました。

 既刊の十二冊も、「新装版 ぼくはめいたんてい」として続々と刊行していきますので、「ぼくはめいたんてい」シリーズは、ぜんぶで十七冊になります。たくさんの子どもたちが楽しんで、ちびっこ名探偵になってくれたらうれしいです。