日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私の新刊
『パンやのろくちゃん げんきだね』 長谷川義史

(月刊「こどもの本」2014年6月号より)
長谷川義史さん

ろくちゃんはすくすく元気!

「かおがパンパン、パンやのろくちゃん」の書き出しではじまるそのとおり、顔がはちきれそうに元気な、幼稚園に通う男の子のお話。小学館のお話雑誌「おひさま」に連載中のお話をまとめて絵本にしたのがこの『パンやのろくちゃん げんきだね』、絵本としてはシリーズ四冊目です。

 連載はかれこれ何年目でしょうか?自分でもわからないので聞いたら二〇〇五年九月号からということで、今年で九年目になるそうです。

 パン屋さんのひとりっ子の男の子のお話ということで、連載最初にぼくは近所の天神橋筋商店街のパン屋さんに取材にいきました。

 聞いてみますと、パン屋さんは朝が早いというか夜中から仕込みをしなければいけないお仕事とわかりました。その取材したパン屋さんはお店を開いたころ小さいお子さんがおられて、不規則な忙しいお仕事で、楽しいながらも子育ては大変でしたと教えていただきました。

 なので、お話には家族も多いほうがろくちゃんの世話もできるしと、おとうさんとおかあさんはもちろん、おじいちゃんとおばあちゃんも登場してもらいました。

 近所の商店街にはちょっとこわいけど、今どき珍しく悪いことしたら「こらっ!」と怒ってくれる魚屋の大将や八百屋の大将がいたり、おかしな日本語をしゃべるお茶目なカレー屋のおじさんがいたりして、ご近所付き合いのある人情味あふれる商店街で、パンやのろくちゃんはすくすく元気に育っています。

 この絵本には四つのお話が収録されています。それぞれのお話は四見開き八ページ完結で物語の王道、起承転結の構成です。

 幼稚園児のろくちゃんのまわりでごく普通におこるエピソード。ろくちゃんはがんばってみたり、泣いてみたり、笑ってみたり、ちょっと情けない結末だったり。

 ちなみにパン屋のろくちゃんの名前の「ろく」はうちの息子の名前です。こちらはもう今高校生ですが小さいころは、かおがパンパンでした。

(はせがわ・よしふみ)●既刊に『ほうれんそうはないています』(鎌田實/文)、『おひざでだっこ』(内田麟太郎/文)など。

「パンやのろくちゃん げんきだね」
小学館
『パンやのろくちゃん げんきだね』
長谷川義史・作・絵
本体1,300円