おにぎりワンルーム
食べるたび思うのです。
おにぎりの中は、いつも窮屈そう。
「おにぎりは、ワンルーム。お弁当は、3LDKやなぁ」
引っ越し魔の私は、物件情報誌をお昼に見つつ、ぼんやりそう思っていました。
「そういえば、おにぎりの中の梅干も引っ越ししたいやろなぁ」
そうして完成したのが今回の絵本『うめぼしくんのおうち』です。
居心地の良い、うめぼしくんの住むおにぎり部屋にたくさんの友達が、どんどん遊びにやってきます。皆、おいしそうな友達です。
たらこさん、しゃけくん、こんぶくん、いくらの兄弟たち。
せまいワンルームですから、すぐに部屋は満員御礼! おにぎりの部屋が、壊れちゃうんじゃないの?!
うめぼしくんの新しいおうち探し、一体どうなる? どうする?!
うめぼしくんと時を同じくして、実際、またまた私も八回目の引っ越しをしました。
せまいワンルームに住んでいたので、うめぼしくんの気持ちが、本当によーくわかります。
家は、幸いまだ壊したことはありませんが、友達は三人以上呼べませんし、本やら紙の重みで、床が抜けないかドキドキな毎日。
引っ越ししてから、新しい環境、ちょっとだけ広くなった新しい部屋に意味もなく、ワクワクします。
最終ページ、ちょっとホッとしたような、うれしそうな顔のうめぼしくん。
描きながら「ああ、これは、私でもあるのかなぁ」と思いました。
うめぼしくんほど、広い部屋にはまだ引っ越し出来ませんが…。
「3さいからのユーモアえほん」シリーズということで、うーんうーんと最初は悩みに悩みました。悩んだ末、小さな読み手さんたちと一緒に遊ぶつもりで、ゆるやかに楽しく、のびやかに描いていきました。
毎回読むたびに、発見がある!
そんな風に何度も楽しんで頂ければ、うれしいです。
(もかこ)●既刊に『ルンバさんのたまご』。
ひかりのくに
『うめぼしくんのおうち』
モカ子・さく・え
本体880円