
プロジェクトにはドラマがある
大がかりなプロジェクトの多くは、いくつもの役割に分けて組織された大勢のスタッフの仕事が、融合したり積み重なったりすることで達成されます。そこに至るまでの過程には、外部の人たちが抱きがちな先入観を覆すような発見や驚きに満ちています。
そのエッセンスをちりばめたノンフィクションシリーズが、「このプロジェクトを追え!」シリーズです。
現在、①『サンシャイン水族館 リニューアル大作戦』、②『成田国際空港 フライト準備OK!』、③『ミッドタウン・タワー 超高層ビル248mへの道』、④『ハイパーレスキュー災害現場へ走れ!』、⑤『毎日新聞社記事づくりの現場』、⑥『東京メトロ大都会をめぐる地下鉄』という六つのプロジェクトを追い、六巻まで刊行。現在は、続刊となる七巻以降の取材に取り組んでいるところです。
普段私たちは、親兄弟や会社の同僚に、面と向かって「仕事のやりがいは?」なんて聞くことはあまりないでしょう。でも、初対面の私が、取材でインタビューをすると、そんな質問が平然とできて、思いのほか仕事に取り組む「純」な感情が、その人特有の言葉に乗ってほとばしり出てきます。
「みんな本当は、自分の仕事のことを知って欲しいんだな。語りたいんだな」と、毎回思ってしまう……。
もちろん、流暢にすべてが語られるわけではありません。会話の中には、社会人として長年身につけた抑制や遠慮も入ります。しかし、用意した質問を精魂こめて投げかけているうちに、本質をついた言葉のかけらが必ず返ってくるようになります。そこから、奇跡的な話、ドラマのような話が展開することが多々ありました。
ビッグプロジェクトになればなるほど、一般の人が知らない仕事があります。そこには苦労やハプニングがあり、やりがいや達成の喜びがあります。その実態が伝わればうれしいです。
(ふかみつ・ふじお)●既刊に『サンシャイン水族館 リニューアル大作戦』『成田国際空港 フライト準備OK!』など。
佼成出版社
『東京メトロ 大都会をめぐる地下鉄』
深光富士男・文
本体1,500円