
新・名探偵ネート
この度、「ぼくはめいたんてい」こと、名探偵ネート君の新刊が出ました。
「ぼくはめいたんてい」は、一九七二年、アメリカで一作目が発表され、以来、二十六作品が出版されている人気のミステリーシリーズです。
日本ではこれまでに、十二冊が翻訳されていますが、十一年ぶりに、もう五冊が仲間に加わります。
今回は、ハロウィンに子ねこがいなくなってしまったり、やぶられたなぞの紙切れを追跡したり、外国でなくなったものを探したり、犬のスラッジになぞのバレンタインカードが届いたりと、どれも楽しいお話ばかり。さらに、他とは少しちがい、ネート君が読者になぞ解きのレクチャーをしながらお話が進む、といった巻も来春発売されます。
この本の翻訳中、残念なことが一つありました。挿絵を担当している、マーク・シーモントが、今年の七月十三日に、九十七歳で亡くなってしまったのです。ニューヨークタイムズの訃報記事を読むと、こんなことが書いてありました。
ロバート・マックロスキーが、『かもさんおとおり』を作るために、マンハッタンのアパートのバスタブで、本物のかもを飼っていたことは有名な話ですが、その時のルームメイトが、シーモントだったそうです。二人は同じ学校に通っていて、マックロスキー(当時二十七歳)が、かもをアパートに持ち込んだ時も、シーモント(当時二十六歳)は快くサポートし、マックロスキーのコルデコット賞受賞に貢献した、とあったのです。
のちに数々の名作を生み出す二人に、こんな接点があったとは驚きでした。その後、シーモント自身も、『木はいいなあ』で同賞を受賞します。
本シリーズは、最初の六冊を光吉夏弥先生が、次の六冊を神宮輝夫先生が訳されていて、大変なプレッシャーでした。これまでの文体を踏襲し、どの作品から読んでも、違和感のないように、簡潔にリズム良く訳したつもりです。一人でも多くの読者に読んでもらえたら幸せです。
(こみや・ゆう)●既訳書にC・C・ムーア『クリスマスのまえのよる』、J・ガントス『あくたれラルフのたんじょうび』など。
大日本図書
『ぼくはめいたんてい ハロウィンにきえたねこ』
『ぼくはめいたんてい なぞのかみきれをおえ!』
マージョリー・W・シャーマット・ぶん
マーク・シーモント・え
小宮 由・やく
本体各1,200円