日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私の新刊
『すごいぞ!ぼくらのからだ』 中川ひろたか

(月刊「こどもの本」2013年10月号より)
中川ひろたかさん

「すごいぞ!ぼくらのからだ」シリーズ 誕生秘話

 2011年の暮れ、メディカ出版という医療系出版社が絵本を作りたいと言ってきた。絵本のプロジェクトチームをつくり、グループ会社である保育社からシリーズものとして出版したいとのこと。面白いと思った。

 話を聞いた時に、まず、思い浮かんだのは「生活科学絵本」というぼくが勝手に作ったジャンルがあって、このジャンルで「からだ」に関することを書いたらいいんじゃないかってこと。

 今までに作ったのでは『歯がぬけた』『へそのお』(PHP研究所)の2冊。科学のことなんか、なーんにも知らないぼくでも、生活に科学のことが深く関わっているらしいことは、わかる。科学の知識が子ども級のぼくだからこその絵本が作れる。

 ぼくは、話の翌朝『あしってエラい!』というテキストを書いて送った。打合せの時に思い浮かんだイメージが冷えて固まらないうちに、一気に書いた。

 足の絵本があるなら、手の絵本も必要だ。

 手でしょ? 手といえば…と思い出したのがもう33年も前のこと、手の写真絵本のアイデア。カタログ的に、手の色々を写真で見せたら面白いと思ったのだ。友達の友達に写真家がいた。すぐに紹介してもらって、プランを話した。彼はどんどんいい写真を撮っては送ってくれた。しかし、ぼくのプランは多岐にわたっていたので、撮っても撮っても追いつかない。だんだんと疎遠になり、フェイドアウトしていった。

 そんな時に、今回の絵本シリーズの話がきた。ぼくは、手の写真絵本のプランを編集者に話した。オッケイが出た。33年前のアイデアが、長い年月を経て、ここに実を結び、一昨年、誕生した孫と手をつないだ写真で、その絵本を締めくくった。

 既刊は『ぼくの手 わたしの手』『たべものたべたら』。近々『ほね・ホネ・がいこつ!』『あしってエラい!』『こころとしんぞう』と続く。

 このシリーズが自分のからだの不思議、すばらしさに気づくきっかけになったら、うれしい。

(なかがわ・ひろたか)●既刊の創作絵本に『なんでやねん』など、翻訳絵本に『かいぞくはパンツがだいすき』など多数。

「すごいぞ!ぼくらのからだ」 「たべものたべたら」

保育社
「すごいぞ!ぼくらのからだ」(既刊2冊)
中川ひろたか・作
本体各1,200円