
赤ちゃんから命を学ぼう
九割近い母親が、おむつを替えるなどの赤ちゃんのお世話はわが子が初めての体験であると言われています。地域でのつながりが希薄になり、一人っ子が増える中で、小・中学生の子どもたちが赤ちゃんとふれあう機会は少なく、そういう子どもたちが成長し、やがて親となっていることを考えれば、当然の結果と言えるでしょう。
二十二年前、当時保育者として働いていた私は、近所の小学校で生命の成り立ちについて話をする機会に恵まれました。以来、小学校から高校までの児童・生徒が赤ちゃんとふれあう「あかちゃんとのふれあい授業(活動)」を続けてきました。
不思議なことに、赤ちゃんと出会い、ふれあい、そしてかかわることによって、参加者の誰もが、赤ちゃんの持つパワーを感じ、笑顔になります。そして、それは思いやりの心、命を大切にする心の育ちへとつながっていきます。
子どもたちが自己肯定感を持ち、毎日を笑顔で過ごしてほしい。それが私の願いです。「命を大切にする心」は、自分自身を振り返ることにもつながり、やがて自己肯定感へと発展していくのではないでしょうか。
赤ちゃんとふれあう上で、赤ちゃんの一日の過ごし方、発達について学ぶことはとても大切です。実際のふれあい授業で、赤ちゃんとどのように接すると良いのか、そうしたことも学べるように『赤ちゃんとふれあおう 全三巻』のシリーズをまとめました。
「あかちゃんとのふれあい授業」は、子どもたちが命の大切さを学ぶだけではなく、赤ちゃんの母親もまた、地域のなかでのつながりを感じ、やがて赤ちゃんの育っていく姿を学ぶことのできる場になっています。
子どもたちが生まれ育つ地域に、命の大切さを学び合える場があり、みんなで支え合えるということは何物にも代えがたいことです。
これから母親になろうとする方や新米パパママ、小・中・高生の皆さんに、このシリーズが一助となることを願っています。
(てらだ・きよみ)●既刊に『あかちゃんが教室にきたよ』『はじめてみよう!幼児のことば遊び』(以上共著)など。
汐文社
『赤ちゃんとふれあおう(全3巻)』
寺田清美・著
本体各2,200円