
いっしょに冒険を
『小さなりゅうとふしぎな木』は、「小さなりゅう」シリーズの四作目です。
最初のお話を書いたときは、ここまで小さなりゅうががんばるとは思っていなかったので、応援してくださるみなさまのおかげと、感謝しております。
このお話は、あらし島にすんでいる小さなりゅうのビックリが、島に伝わる昔話をきいたことからはじまります。
昔、あらし島には、木や花がしげっていました。でも、しょっちゅう嵐がくるので、その植物たちがにげだして、岩ばかりの島になったというのです。
「足もつばさもないのに、どうやってにげたの?」
ビックリは、友だちの白い鳥のチッチといっしょに、その謎をつきとめようと、島をとびだしていきます。
卵から生まれたばかりの小さなりゅうにとって、まわりはふしぎでおどろくことばかり。なんでも知りたくてたまらないのです。
ビックリたちは、霧のせいで森のなかに迷いこみます。ここは、旅行で行ったときに見た黒部峡谷の霧をイメージしました。
濃いみどりの山や深い谷に流れてくる霧はとても神秘的で、いつか、こんな霧がでてくるお話を書きたいと思っていたのです。
小倉正巳先生は、私の想像をはるかにうわまわる絵で、お話の世界を広げてくださいました。
迫力のある植物や、めずらしい虫たちにもご注目を! お花畑にかくれているものを探すのも、楽しいですよ。
また、ビックリが森で出会う新しいキャラクターは、わが家のハムスターがモデル。小さな手をつかって物を食べたり、鼻をしゅるしゅる洗ったり。ころんとしたからだを一生懸命にねじって、背中のほうまで毛づくろいをしたり……。
いつまで見ていても飽きなくて、お話のなかにも登場してもらうことになりました。
この本を手にとってくださる方にも、ビックリのおどろきや感動を共有して、いっしょに冒険を楽しんでいただけたらうれしいです。
(ながい・るりこ)●既刊に『小さなりゅう』『小さなりゅう 空をとぶ』『小さなりゅうと海のともだち』など。
国土社
『小さなりゅうとふしぎな木』
長井るり子・作
小倉正巳・絵
本体1,200円