こどもの本

我が社の売れ筋 ヒットのひみつ35
「ロアルド・ダールコレクション」 評論社

(月刊「こどもの本」2022年10月号より)
「ロアルド・ダールコレクション」

不滅の作家ロアルド・ダール

ロアルド・ダール 著/クェンティン・ブレイク 絵/柳瀬尚紀ほか 訳

 イギリスでは、子どもから大人まで知らない人はいないという国民的作家、ロアルド・ダール。『あなたに似た人』や『キス・キス』など、大人向けの小説でも有名ですが、やっぱり何といっても『チョコレート工場の秘密』『マチルダは小さな大天才』『魔女がいっぱい』『オ・ヤサシ巨人BFG』など、子どもたちのために書かれた本が圧倒的に魅力的!

 評論社では、過去にダール作品を何冊も刊行していましたが、イギリスでクェンティン・ブレイクがイラストを手がけた作品がつぎつぎと出版されると聞いて、新しいイラスト、新しい装丁、新しい訳で、新しいシリーズを! と、この「ロアルド・ダール コレクション」が生まれました。新書版のサイズでフランス装、イラストを色刷りにしたおしゃれな体裁は、子どもたちだけでなく、大人にも人気です。

 翻訳者が決まり、まずコレクションの第一作として『チョコレート工場の秘密』の編集作業を進めていたときです。思いがけず、この本の映画化のニュースが飛びこんできました。ジョニー・デップ主演、ティム・バートン監督作品とわかると、これはヒットまちがいなし、と、そのタイミングの良さに編集部員・販売部員全員で手をとりあって喜びあいました!

「ロアルド・ダール コレクション」の刊行が始まると、読者ハガキがどんどん届くようになりました。本の反響がこんなに早く、こんなにたくさん、しかもいろいろな年代の読者から届くという経験は初めてのことでした。ダールの世界は、お行儀のいい、良い子ばかりが出てくるお話ではありません。悪人もずるい人も怖い人も登場し、ぎょっとするような事件も発生します。子どもには難しいかなと思う、ちょっとひねりのきいたユーモアがちりばめられています。けれども、「こんなにおもしろいお話ははじめてで、ぜんぶ読みたい」と書いてくれた七歳の男の子、「止まらない」と夢中になってくれた十歳の女の子のお便りを見ていると、面白いお話に理屈は不要、と感じました。

 今年はダールの代表作、『チョコレート工場の秘密』『おばけ桃が行く』が刊行50周年を迎えます。ほかにも、『マチルダは小さな大天才』の映画が12月公開予定、『奇才ヘンリー・シュガーの物語』の映画化も決定(主演はベネディクト・カンバーバッチ!)とめでたい話題が続きます。また改めて、〝読みだしたら止まらない〟 面白さを、多くの読者にお届けできたらと願っています。

(評論社 竹下純子)