
本の力、ラジオの力
前田海音 文/はたこうしろう 絵
2021年4月刊行
この作品は、子どもノンフィクション文学賞(北九州市主催)の大賞受賞作を絵本にしたものです。脳神経の難病を抱える少女が、2メートル×1メートルのベッドの上、「二平方メートルの世界」で入院生活を送り、感じた「こどく感」が
ただこのクライマックスだけでなく、難病を抱え一番
読売新聞「編集手帳」欄や、朝日新聞「窓」欄など、たくさんの新聞コラムでも取り上げられたのですが、印象的だったのはラジオの反響でした。今年3月31日のNHK「ラジオ深夜便」まで、早朝のラジオ4番組で紹介され、朗読していただいたのですが、その日の売り上げが
ラジオは聴取者との距離が近く、取り上げられた本や商品への反応が非常に速くて大きい。各番組のパーソナリティも、番組への反響(聴取者からのメールや、商品の売れ行きなど)をすぐにフィードバックして、二度三度話題にしてくれる。この情報がツイッターなどで拡散されて、大きな流れが出来ました。
また、早朝のラジオ番組には高齢者の熱心なファンが多くついています。闘病記でもある本書を読んで、わが身に引き付けて感動したという声が多く寄せられました。孫や子どもに贈ったというメールも、各番組に多数届いたそうです。子どもの本の情報をご両親や祖父母に知っていただくには、ラジオというメディアは非常に有効と感じました。
その後、青少年読書感想文全国コンクールでこの本の感想文が内閣総理大臣賞を受賞したり、MOE絵本屋さん大賞(6位)、親子で読んでほしい絵本大賞(大賞)と、刊行後1年近く話題が途切れません。
いまさらながら、小学3年生が書いたこの作文の、驚くべき力に感動します。前田海音さんは小さなときから本が大好きで、たくさんの本を読んで育ったそうです。この絵本の成り立ちや、その感動が広がってゆくさまに、あらためて「本の力」というものを感じないではいられませんでした。