日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私の新刊
『語りかけ絵本 さくら』 こがようこ

(月刊「こどもの本」2022年4月号より)
こがようこさん

美しい絵本ができました

 2月に「語りかけ絵本」シリーズの最新刊『さくら』が刊行されました。

 このシリーズはほかに、『いちご』『ひよこ』『どんぐり』『えだまめ』の4冊。どれも、「なんだろな? なんだろね。そう、○・○・○」と始まります。そのまま読めばしぜんと語りかける口調となっていて、巻末には、食べるマネをしてみよう、そっと揺れてみようなど、親子でコミュニケーションをとる『ちょこっとヒント』も載せました。

 わたしには、子どもたちに語りかけてほしいという気持ちがいっぱいあります。言葉でなくても、温かいまなざしや微笑み、それら全てが語りかけだと思うのです。編集者さんってすごいですよ。わたしが今までさまざまな形で発信したもの全て(段ボールひと箱くらい)読んで、「こがさんはずっと『語りかけ』って言っているよ。語りかけ絵本を作ろう」と言ってくれたのです。それがこのシリーズが生まれたきっかけです。

 さて、新刊絵本『さくら』の話。日本人にはとても馴染み深い桜。DNAに組み込まれているのではと思うほど、それぞれ桜に寄せる想いがあって、春になるとみんな桜を見上げます。

 でも、子どもたちにとっては花を愛でるより、まずは花びらを摘まんだり、拾ったり、拾い集めて並べてみたり。それが桜との出会いかなあと思います。

 この絵本は、そんなささやかな遊びの一場面を切りとったようなお話です。はなびら一枚一枚と絵本の中で遊んでみました。Pペーパーという素材に絵を描いて切り絵のような手法で作っています。印刷の段階で影をつけてもらい味わい深い作品となりました。

 出来上がった『さくら』を見ると、わたしだけでなく、本作りに関わってくれたそれぞれの人の、桜への想いみたいなものがプラスされているように感じます。やっぱり桜は特別ですね。

 最後には満開の桜をお見せします。美しい絵本になりました。子どもたちの心に届いてくれるとうれしいです。

●既刊に『わがまんまちゃん』『どーこかな』、紙しばい(脚本)『たんぽぽぐみのおへやです』など。

『語りかけ絵本 さくら』
大日本図書
『語りかけ絵本 さくら』
こがようこ・ぶん・え
定価1,100円(税込)