
絵本で遊ぼう
ぼくにとって久しぶりの作絵の絵本。
小さな子どもたちが絵本を使って遊べる、そんな絵本にしたいと思った。絵本を見ながら自然に体を動かしたくなるような絵本だ。
体操の絵本を考えるにあたって、運動が苦手な子が、「これならできそう」、と感じる、そんな絵本にしたかった。
手をあげる、手をおろす。横を向く、体を前にまげる、片足をあげる……。日常的に行われる普通の動作を基本に。
声をだしたり体を動かしたりすることは、心を大らかにしてくれる。
登場するのは全て動物。人間では動きは説明っぽくなる。普段、ぼくは絵本の動物にはあまり服は着させない。でもこの絵本にはそれが必要だ。動物のままでは生々しくなり、視覚的にイメージを自分に置き換えにくくもなる。
ラフを描きながら、一体この動物はどんな色のスポーツシャツなんだ? などと、あえて深く色を探るのをやめ、鉛筆で描き進めた。
基本的に動作の繰り返しの絵本。前後ページのめくりをパタパタと繰り返すと、アニメ的動きもそこに見える。
それはともかく、いざ着色に入ると、あえて色を探るのをやめていたので、色をつけるときにはとても新鮮であった。「あー、このパンダはこんな色のパンツになるのか」などと。それが各ページ描いていておもしろかった。
着色を進めると今までの経験の感覚を超えるときがある。
テクニックについてもそうだ。ぼくはあまりややこしいテクニックは持ち合わせていない。それでも、ラフを描きながら、本番はどうなるんだ、自分で描けるのか。でも、この絵がいいとぼくのどこかで言っている。ここでもいざ、本番、画面に立ち向かうと、それなりにテクニックを画面から教えてくれるときがある。(なんだか、偉そうなことを言ってしまった。)
とにかく、おもしろく描けて、おもしろい絵本ができるのが肝心。
新しい絵本に託す。
子どもたちがこの絵本で大いに遊んでくれることを。
(たかばたけ・じゅん)●既刊(絵)に『ほらふきカールおじさん』『ぼくは』『モンスター・ホテルでおばけやしき』など。
光村教育図書
『たいそうするよ 1,2,3,はい!』
高畠 純・作・絵
定価1,210円(税込)