日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私の新刊
『ビックリマン漢熟覇王(全3巻)』 下田 淳

(月刊「こどもの本」2012年7月号より)
下田淳さん

ゲーム感覚で楽しく読める!

 ビックリマンシールといえば、小さなお子さんより、その親御さんの方がなじみ深いのではないでしょうか。昭和の一大ブームとなった悪魔VS天使のビックリマンチョコのことです。

 三十年近く経った今も愛され続け、不定期ながら現在もときどきチョコは発売されていたりします。そんなビックリマンが2010年から打ち出した新企画が『ビックリマン漢熟覇王』でした。テレビゲームのキャラクターと漢字の魔法を融合させ、組み合わせた熟語の画数で勝負する新しいシリーズで、その物語をベースにライトノベルが出来上がりました。

 読者対象は、小学校中学年〜中学生で、かつてのビックリマンブームを知る世代のお子さんたちに当たるかもしれません。小中学生の義務教育期間中というのは、学校や家庭を通して自分の可能性を探る大切な時だと思います。見るもの、聞くもの、触れるもの、人とのつきあいを通じて自分の好きなもの、やがて向かうべき道への可能性を探る時間となることでしょう。

 本とのふれあいもその中の一つです。活字離れが深刻とは言われますが、子ども本人の問題ではなく、最初はきっかけを与えてみることも保護者の大切な役割ではないでしょうか。小難しい文章は苦手でも、夢のある壮大な物語なら自分自身を投影させ、心躍らせることでしょう。夢中になるきっかけは、意外とたくさん転がっているものです。

「ビックリマン漢熟覇王」シリーズは全三巻ありますが、読みやすい冒険もののライトノベルですので、さらりと読めます。とにかく読み切ってスカッとしていただきたい。読破する心地良さ、達成感も、子どもたちには重要なことです。一冊読めば一歩進む。三冊読めば三歩進む。冒険になぞらえて、そんなことを感じていただけたら幸いです。本書には、お父様お母様にも懐かしいビックリマンシールが付録で巻末に付いています。ぜひお手にとって親子で楽しんでいただければ、と思う次第です。

(しもだ・あつし)●既刊に『ビックリマン大教典』『超完本ビックリマン』『ビックリマン・シールコレクション』など。

「ビックリマン漢熟覇王」(全3巻)
金の星社
「ビックリマン漢熟覇王」(全3巻)
下田 淳・文
ビックリマン漢熟覇王プロジェクト・監修
本体各900円