日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私の新刊
『スター・ウォーズ アルティメット・ポップアップ ギャラクシー・ガイド』 富永晶子

(月刊「こどもの本」2020年11月号より)
富永晶子さん

「スター・ウォーズ」の名場面を楽しめる、豪華なとびだししかけ絵本

 この絵本の翻訳のお話をいただいたとき、「スター・ウォーズ」が大好きな私は、とてもわくわくしました。

 「スター・ウォーズ」にハマったきっかけは、小学生のときに読んだティモシイ・ザーン著の小説シリーズ、「スローン3部作」。オリジナルの映画が公開された当時私はまだ生まれていませんでしたが、今もまったく古さを感じさせない映画や小説を通じて、この広大な銀河で繰り広げられる物語にどんどんのめりこんでいきました。翻訳の道に進むことになったのも「スター・ウォーズ」を好きになったからこそ。そんなわけで、「スター・ウォーズ」は心のなかで特別な位置を占めています。

 さて、このとびだす絵本の魅力は、なんといっても映画の名場面を立体的に楽しめるところ。ページをめくるたびに、様々な惑星の戦闘シーンやハン・ソロのカーボン凍結などの名場面を再現した「しかけの精巧さ」に驚かされます。しかも、通常の絵本とは違って360度、どの角度からも見ることができ、ページを全部開くと本全体が立体ジオラマになる、という嬉しいおまけ付き。

 どうやって作るのだろう、と首をひねっていたとき、アメリカで開催された「スター・ウォーズ・セレブレーション」というイベントで、制作の最終段階にあった本書の著者、ペーパー・エンジニアのマシュー・ラインハートさんの講演を聴きました。複雑なしかけが完成するまでに、自由な発想で根気よく試行錯誤を重ねたというお話がとても印象に残っています。

 これまでの「スター・ウォーズ」映画のあらすじを簡潔にまとめたこのとびだす絵本は、昔からのファンはもちろんのこと、新しいファンにもとっつきやすい内容になっています。翻訳をするときには、どちらのファンもスムーズに読めるように、と心がけました。

 「スター・ウォーズ」に初めて夢中になったころの気持ちを思いださせてくれる、そんなステキな絵本です。

(とみなが・あきこ)●既訳書に『ディズニー・シネストーリー ムーラン』『私はC-3PO』(共訳)、『QUEEN in 3-D』など。

『スター・ウォーズ アルティメット・ポップアップ
大日本絵画
『スター・ウォーズ アルティメット・ポップアップ ギャラクシー・ガイド』
マシュー・ラインハート・作/ケヴィン・M・ウィルソン・絵/富永晶子・訳
本体9,000円