
みんなうれしい
相当に昔々の話になりますが、小学校に入る時、就学時健診と同時に受けたテスト(?)の中に「仲間外れを探しなさい」という問題がありました。色々な図形等が書かれていて他と違う特徴を持つものに丸をつけるという問いでした。幼心に「これはお友だちじゃないんだな…」と気の毒な気がしたのを覚えています。
最近はこうした文言もきちんと配慮されているとは思いますが、「違いがある=仲間外れ」というネガティブなイメージが、悪意はなくても世の中のところどころにあって、折に触れて子供達に向けて発信されているとしたら、とても悲しいことだと思います。共通点に嬉しさを感じるのは自然なこと。と同時に相違点も嫌なものなどではありません。
この絵本で、「おなじって嬉しい。ちがうって楽しい。」そう当たり前に感じていただけたらなあと思っています。
ところで、 「あてっこの赤ちゃん絵本」って、どういうものを思い浮かべますか? 最初にこのお題を頂いた時、パッと一目で分かりやすい絵…簡単に当てられる内容…そう考えた私は、この絵本のテーマに悩みました。というのも私はいつも、そのままに近い姿で動物たちを描きたいと思っているからです。
異なる動物を並べて「どこが同じでしょう?」「はい、目が同じで他は全部違います」なんて、彼らはそんな単純な存在ではありません。見れば見るほど同じところも違うところも沢山あり、そこが魅力です。
それに、赤ちゃんは知識が少なくて当然。だったら「当てて楽しい」だけじゃなく「思っていたのと違ってビックリ」「はずれても楽しい」そんな絵本にしたいと思いました。
私たちは色々な要素を持って存在し、見た目も性格も能力もそれぞれ同じところもあれば違うところもあるからこそ面白い。
ページをめくりながら「おんなじ(似ている)」ところも、そうでないところも、両方を楽しんでいただけたら嬉しいです。
(しもかわら・ゆみ)●既刊に『ぽつぽつぽつ だいじょうぶ?』『おすわり どうぞ』『ねえねえ あのね』など。
あかね書房
『おんなじ だあれ?』
しもかわらゆみ・作
本体1,300円