
自己肯定感の大切さを知る
幼い頃から空想が好きでした。
「宇宙には星が無数にあるのだから、地球以外の星にもきっと仲間が住んでいるはず!」。
「目には見えない生き物が、私のすぐ隣を歩いているかも?」。
ファンタジー世界の住人に出会うことや、私自身がその世界で生きることがずっと憧れでした。
ですから、絵本作家になったのも自然の流れなのかもしれません。
自分の手で理想の世界を描写できる仕事に就けて、今はとても幸せを感じています。
『森のゲオルグ』には、作者の原体験がたくさん詰まっています。
小さな妖精や色とりどりの美しい花々、そして空を飛ぶ体験など……。
子どもたちが夢中になる幻想的でロマンティックな世界が広がっています。
本作の主人公・妖精のゲオルグは、あるハンディキャップを持って生まれてきました。それは、他の妖精と違って、生まれつき羽が生えないこと─。
「努力してあるいは奇跡が起こり、羽が生えてきました」。これが通常のハッピーエンドなのかもしれません。
しかし、本作はコンセプト上、そうはしませんでした。
ゲオルグはとても明るく素直な性格。読者の子どもたちと同じく、遊ぶことも学ぶことも大好きな妖精です。
山や野原に出かけ、植物や昆虫などの自然と積極的に触れ合い、心を解放し自分自身と向き合うことを学びます。
さらに、ゲオルグの両親は読み聞かせや子守唄をつうじ、我が子の成長をあたたかく見守っています。
両親に愛情をたっぷり注がれたゲオルグは、弱点を克服するのではなく、自分自身の強みを伸ばしていきます。
「ナンバーワンを目指すのではなく、オンリーワンであり続けること」
言うのは簡単ですが、実行するのは非常にむずかしいことです。
本作を読んだ子どもたちが、自分らしく生きていくことの素晴らしさに気づいてもらえたら、と心から願っています。
(ノーブスミー)●既刊に『たるとたたんのたいこまつり』『たるとたたんのくんくんぼうし』。
出版ワークス
『森のゲオルグ』
ノーブスミー・さく・え
本体1,800円