日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私の新刊
『しゅうくんかぞくの しあわせレシピ つきみだんご』 はまのゆか

(月刊「こどもの本」2018年10月号より)
はまのゆかさん

レッツ、クッキング!

 食べることは好きですか? 私は大大大好きです! 近ごろは、食いしん坊の五歳の娘と一緒に、いろいろなものを作って食べています。

 最近のヒットメニューは、鍋で豪快に作る特大プリン。娘が卵を割って、ざるでこしてくれました。オーブンで蒸し焼きする間、まだかまだかと大騒ぎ。プリンができあがると、誇らしげにお父さんへ勧めていました。

 私とクッキングタイムを共に過ごすうちに、野菜を洗ったり、切ったり、そして、片付けたりも、自然と一緒にしてくれるようになりました。

 私も子どものころ、今の私と娘のようでした。家族と一緒に、スクランブルエッグやお好み焼き、アイスクリームなどなど、いろいろなものを作って食べました。私も、小さな包丁を握り、おぼつかない手元で野菜を切っていました。失敗することも多かったのですが、今になればそれもまた良い思い出。そうそう。うどんにチャレンジしたときは、生地がネチャネチャ手にくっついて、途中で断念。急きょすいとんにして食べたっけ……。

 生きていくためには、食べることは必要不可欠です。料理を作ることを通して、食べることの大切さを教えてくれた家族には、感謝の気持ちでいっぱいです。

 今の時代、お金を出せば手軽に食事をとることができます。でも、自分で料理を作ることによって得られるものは多いはず。たくさんお金をかけなくても、安く手に入れた食材で、栄養があり、バランスのとれた食事をとることができることも学べます。食べ物に対する感謝の気持ちや、創意工夫する楽しさも学べます。料理を作ることは、生きることの基本とも言えるでしょう。

 この絵本のしゅうくん家族は、月見団子にはじまり、料理の本に載っていた郷土食の団子汁をアレンジして、おいしい一品を作りました。

 この絵本を読んでくれた子どもたちがオリジナルの「幸せレシピ」を考え、たくさんの笑顔あふれる食卓が生まれることを願っています。

(はまの・ゆか)●既刊に『へたなんよ』『ママが10にん!?』『小学校の生活』など。

『しゅうくんかぞくの
光村教育図書
『しゅうくんかぞくの しあわせレシピ つきみだんご』
はまのゆか・作
本体1、300円