
こども達に「熱」を
「こども達が、最後の一人になるまで競い続ける話」
『ラストサバイバル』を一言で言うならそういうお話です。映画や小説、漫画やゲームでも幅広く使われている題材ですし、私も昔から大好きなテーマでした。
とはいうものの、私自身は(それ以前の)こどものころ、あまり本というものを読んでおりませんでした。
なぜかというと、私の中で本というのは「昔話」の延長にあるものだと思っていたからです。平凡に話が進んで、平凡に話が終わる。そんなイメージがありました。だったら、漫画やゲームの方が刺激的で面白いじゃないか、そう考えていたのです。
そのイメージがガラリと変わったのは学級文庫として置いてあったヘミングウェイの『老人と海』を読んだときでした。老人とカジキとの長きにわたる死闘は、こどもながらに手に汗を握るものだったからです。
そのときに感じたような「熱」をこども達に伝えたい。そういう思いが根底にあり、今回『ラストサバイバル』という作品を書かせていただきました。
第一弾では最後の一人になるまで歩き続ける『サバイバルウォーク』。
第二弾では最後の一人になるまで教室に残り続ける『サバイバル教室』。
どちらの作品でも、特にクライマックスのシーンは「さあ、ここからがクライマックスだぞ、気合い入れて読んでくれよ!」ということを訴えかけるように書いています。
極端な話、話の内容が全然頭の中に入ってこなくても、この話を読んだこどもの中に、何かしらの熱を残せれば、私としては大成功だと思っています。
何の気なしに本を手に取ったこどもが、ぱらぱらとページをめくり、いつの間にか全部読んでいた。そのような作品を書き続けられるように、今後とも精進していきたいと考えております。
(おおくぼ・ひらく)●本書が初の著作。
集英社みらい文庫
『生き残りゲームラストサバイバル 最後まで歩けるのはだれだ』
大久保 開・作
北野詠一・絵
本体640円