
パパからのおくりもの
『パパのぼり』『パパおふろ』という絵本を描きました。この二冊は編集者さんから「息子さんとの遊びや生活のお話を絵本にしてみませんか?」と言われたのがきっかけで生まれました。
最初は簡単な息子の日記みたいなものを書いていて、それを元に編集者さんと絵本にできそうなお話を選んだところから始まりました。その頃息子は一才か二才くらいだったかと思います。乗り物が好きで、バス、電車、消防車、救急車、なんでも好きでした。そこでバスと運転手と乗客の動物たちを段ボールで作ってあげると、とっても喜んでくれて毎日遊んでいました。息子はバスを持ってお家の床や椅子、テーブル、布団など、どこでも走らせました。そのうちぼくの体の上も走らせるようになりました。一冊目の『パパのぼり』のお話はそこから始まる絵本なんです。タイトルのまま、パパを登るお話です。
子育てをしているパパは少なからず体を使った遊びが多いのではないかと思います。ぼくは家で仕事をしているので息子と遊ぶことが多く、それがもちろん好きなんですが「ちょっと休憩ね」と言っては休んだり、息子に見られないように遊んでいるふりをして休んだりしています。気持ちは何度でも遊び続けたいのですが、残念ながら体がついてきてくれないんです。そんな気持ちを込めて描いたのが『パパのぼり』なんです。
二冊目の『パパおふろ』は息子と服を脱いでから湯船に入るまでのお話です。実際はうちの息子はお風呂へ入るのが嫌いというか、お風呂場まで行くのをすごく嫌がります。大抵お風呂へ入る前に何か遊んでいるので、その遊びを止めるのがとにかく嫌なんです。その遊びを止めさせるのに説得して何とかお風呂場まで連れていくんですが、これが毎度まいど長いんです。なので『パパおふろ』は少しでもお風呂に興味を持ってもらえたらなという思いで描きました。
二冊ともぼくの実体験から生まれた絵本なので、少しでも共感していただけたら嬉しいです。もちろん息子にも読んであげたいです。
●既刊に『しろねこくろねこ』『ぱーおーぽのうた』『こうまくん』など。
文溪堂
『パパのぼり』『パパおふろ』
きくちちき・作
本体各1,000円