
おかげさまで
シリーズ10周年!
人間の女の子が、薬草魔女の遺産を相続したことから始まるお話「魔法の庭ものがたり」もおかげさまで20巻目。
あっというまに10年が経ちました。たくさんの読者に支えられ、大きく育つことができた幸せなシリーズです。
10年の間には、読者もずいんぶん入れ替わります。1巻目の初版を読んだ女の子たちは、今頃はラノベか、もしかしたら太宰治のような純文学を読んでいるかもしれませんね。
そんな少女たちは、私の本をすっかり忘れてしまったでしょうか?
もしそうなら、私の役目はなんだったのでしょう?
そんな問いへの答えを、私はこんな風に考えています。
「児童書から得たメッセージは、生涯のエール(応援)になる!」
大人になって、困難や失望に向かい合ったときに、自分で自分を応援する「エール」です。
そう考えるようになったのは、愛読書『赤毛のアン』が、私を励まし続けてくれているから。中学の時も高校の時も、そして今でも「そういえば、アンにこう書いてあったっけ」と励まされることがあります。
ですから私は、今の等身大の読者が共感するだけでなく、成長して励ましが必要な時にも思い起こせるような作品を書きたいと願っています。
もちろん、今回の20巻もそう。
今回ハーブの薬屋さんジャレットを訪ねてくるのは、「夢」と「現実」のギャップにイライラしたり、落ちこんだりするお客様。
あら? …あなたもそう?
実は、わたしもそう…。
思い描いた「夢」に近づけないことを周りの人や環境のせいにしたり。
本当は「やらない」だけなのに、「できない」って思いこんでみたり。
もし、思い当たることがあったら、どうぞ魔法の庭へ足をお運びください!
今回はイースターのエピソードで展開する春らしいお話。
ジャレットが作るいい香りのハーブの「エール」を差し上げます。
(あんびるやすこ)●既刊に「魔法の庭ものがたり」シリーズ、「なんでも魔女商会」シリーズ、「ルルとララ」シリーズなど。
ポプラ社
『魔法の庭ものがたり20 魔法の庭の宝石のたまご』
あんびるやすこ・作・絵
本体1、000円