日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私の新刊
『やきそばばんばん』 はらぺこめがね

(月刊「こどもの本」2016年12月号より)
はらぺこめがねさん

やきそばが好き

 編集者さんから「今、一番好きな食べものは?」と質問され、「やきそばっ」と、とっさに答えてしまったのが、この絵本のはじまりでした。
 私たちは、夫婦でユニットとして絵を描いています。食べものは原田(夫)で、人やその他は関(妻)が担当しています。ですから、食べる事が好きで食べものの絵を描き始めた原田が「やきそばっ」と答えました。
 大好きなやきそばの絵本が描けると二人で意気込んでいましたが、いざ制作となると、あの細くて長くて絡まってうねうねしている「麺」を描かなければなりません。しかも、半分以上のページに登場します。麺ノイローゼになるかも……と思いながら、おいしいやきそばを食べ続け、麺への愛情を持って何とか最後まで描ききりました。
 麺類ってとってもおいしいですよね。きっとそれってこんなに描くのが大変なほどに、いろんな食材たちが麺に絡まっておたがいのおいしさを引き出しているからなんだろなぁ。これからは、今まで以上に麺をおいしく感じて食べられる気がします。
 毎回、絵本を描く前に取材に行きます。今回は編集者さんと一日で三軒やきそば屋さんをはしごしたのは楽しかったなぁ。屋台やお店で作るところを見ていると、それだけでおいしさを感じてきます。しまいには、焼いている人そのものがおいしそうに見えてきます。焼き手さんの愛情が注がれておいしいやきそばが生まれるんです。だから、「焼き手さんを魅力的に描くことが、おいしいやきそばを描くコツなんだ」と気付けたのもよかったです。
 制作期間中は、ずっと憧れていた鉄板を購入して、普段の食事の中でやきそばを作って食べていました。絵本の中にでてくるやきそばは、実際に自分たちで作ったものをモデルに描いています。自分たちで一所懸命作ったやきそばは格別でした。
 なんだか、おいしかった話ばかりしているのですが、読んでくださる方にはやきそばが食べたいっと思ってもらえたら最高です。どうぞ、はらぺこで絵本を読んでみてください。

(はらぺこめがね)●既刊に『すきやき』『くんくんぱくぱく』『へんなおでん』など。

やきそばばんばん
あかね書房
『やきそばばんばん』
はらぺこめがね・作
本体1、300円