
魔女、魔女、魔女
…両親の旅行中、ミセス・カニンガムに世話をしてもらっているバーバラとリック。しかし、そのキャベツ料理のにおいがイヤな姉弟は、おこづかいでにおい消しを買いにいきます。
お金が少ししかなかったので、ふたりはいちばん安いびん入りのにおい消しを買うことにしました。
家に帰って、びんのふたをあけると、バーバラの指の先に黒いものがついてきました。なんと、その黒いものはどんどん大きくなり…。
『雨の日の魔女』は、「魔女の本棚」シリーズによく出てくる、子どもたちが魔女に出会い、魔女を助けながら、さまざまな冒険をするというタイプのストーリーです。
お話のすじがわかってしまうので、あまりくわしくは書けませんが、魔法の力で、思いもよらないできごとが次から次へと起こっていきます。自分たちにこんな魔法が起こったらどうしよう、と、子どもたちがハラハラしながら読める内容になっています。
この「魔女の本棚」シリーズ最大の特徴は、出てくる魔女も子どもたちも、その他の登場人物も、みんなやさしいということです。
安心してお話を楽しめ、読み終わったあと、心がほかほかとあたたかくなるものばかりです。
『雨の日の魔女』は「魔女の本棚」シリーズの二十三巻目の本になります。シリーズ一巻目の『魔女とふしぎな指輪』が出版されたのが二〇〇五年ですから、もう十一年たちました。
私がこのシリーズに出合ったきっかけは、海外に住んでいたときに、二巻目の『水曜日の魔女』を娘が友だちから借りたことでした。
娘はあまり読書が好きでなかったのですが、『水曜日の魔女』は英語で書かれているのにもかかわらず、夢中で読んでいました。それ以来、娘は魔女が出てくるお話なら英語でも日本語でもよろこんで読むようになったのです。
日本の子どもたちも、夢中で読める本に出合ってほしいと思いながら、このシリーズを翻訳しております。
(ひなた・ようこ)●既訳書に『レモネード戦争』『耳の聞こえない子がわたります』『あなたがだいすき』など。
フレーベル館
『雨の日の魔女』
ルース・チュウ・作
日当陽子・訳
たんじあきこ・絵
本体780円