日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私の新刊
『バスがいっぱい!』 石 哲元

(月刊「こどもの本」2012年2月号より)
石 哲元さん

バスはともだち

 以前住んでいた家の前にバス停がありました。子どもたち(双子の男の子)が2歳のころ、バス停にバスが止まるたびに「バスがきたよ!」とはしゃぐのを見て、いっしょにバスの絵を描いたのがはじまりでした。

 あかいバス、きいろいバス、しましまバス、みずたまバス、おおきいバス、ちっちゃいバス……と、色や模様、形などで、いろんなバスの絵を描いて遊びました。

「おおきいバスには、だれが乗るかな?」と聞くと、「ぞうさんとぼく」。

「ちっちゃいバスには?」と聞くと、「ありんこ10匹とぼく」と、必ず自分も乗ると言います。いろんなバスに乗る想像をしながら話も盛り上がります。

 動物園に遊びにいったとき、園内を走っているしましまバス(サファリ形式で、ライオンを見ることができるバス。正式にはライオンバス)をみつけて、「パパ〜、しましまバスあった!本当にあったよ!」と大興奮したこともありました。

 子どもにとって車は単にうごく機械ではなく、おなじ命のあるともだちのような存在です。この本に出てくるバスも、それぞれ違う顔に描いて、より親しみやすい存在にしました。

 こうしていっしょに『バスがいっぱい!』を作ってきた子どもたちも、もうすぐ5歳になります。いまでは、読んでもらうのではなく自分で読みながら楽しんでます。

 バスはいろんな人が乗ったり降りたり、座席の位置も高いので、普段と違う目線で景色を楽しめますから、僕も子どもたちも大好きです。

『バスがいっぱい!』は、シンプルだけれど、繰り返し読んでも飽きないように工夫もし、僕の気持ちをいっぱいに込めました。たくさんの子どもたちに長く愛されてほしいです。

 絵本の出版は今回が初めてでしたが、絵本を作っているあいだ中ずっと、とても面白くて、嬉しくて、幸せな気分でいっぱいでした。これからも、2冊目、3冊目……と、もっともっと作り続けていきたいと思っています。

(そく・ちょるうぉん)●本書が初の著作。

「バスがいっぱい!」
アリス館
『バスがいっぱい!』
そく・ちょるうぉん・作
本体950円