
バスはともだち
以前住んでいた家の前にバス停がありました。子どもたち(双子の男の子)が2歳のころ、バス停にバスが止まるたびに「バスがきたよ!」とはしゃぐのを見て、いっしょにバスの絵を描いたのがはじまりでした。
あかいバス、きいろいバス、しましまバス、みずたまバス、おおきいバス、ちっちゃいバス……と、色や模様、形などで、いろんなバスの絵を描いて遊びました。
「おおきいバスには、だれが乗るかな?」と聞くと、「ぞうさんとぼく」。
「ちっちゃいバスには?」と聞くと、「ありんこ10匹とぼく」と、必ず自分も乗ると言います。いろんなバスに乗る想像をしながら話も盛り上がります。
動物園に遊びにいったとき、園内を走っているしましまバス(サファリ形式で、ライオンを見ることができるバス。正式にはライオンバス)をみつけて、「パパ〜、しましまバスあった!本当にあったよ!」と大興奮したこともありました。
子どもにとって車は単にうごく機械ではなく、おなじ命のあるともだちのような存在です。この本に出てくるバスも、それぞれ違う顔に描いて、より親しみやすい存在にしました。
こうしていっしょに『バスがいっぱい!』を作ってきた子どもたちも、もうすぐ5歳になります。いまでは、読んでもらうのではなく自分で読みながら楽しんでます。
バスはいろんな人が乗ったり降りたり、座席の位置も高いので、普段と違う目線で景色を楽しめますから、僕も子どもたちも大好きです。
『バスがいっぱい!』は、シンプルだけれど、繰り返し読んでも飽きないように工夫もし、僕の気持ちをいっぱいに込めました。たくさんの子どもたちに長く愛されてほしいです。
絵本の出版は今回が初めてでしたが、絵本を作っているあいだ中ずっと、とても面白くて、嬉しくて、幸せな気分でいっぱいでした。これからも、2冊目、3冊目……と、もっともっと作り続けていきたいと思っています。
(そく・ちょるうぉん)●本書が初の著作。
アリス館
『バスがいっぱい!』
そく・ちょるうぉん・作
本体950円