日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私の新刊
『親子あそびのえほん』 武本佳奈絵

(月刊「こどもの本」2016年1月号より)
武本佳奈絵さん

まる1日、1年じゅう、遊び通せる1冊!

〈おはなしとあそび〉のユニット、pipio(ピピオ)の活動をはじめて四年、たくさんの子どもたちと接する機会に恵まれてきました。絵本にくっつきそうなほど身を乗り出してくる子どもたち。おおはしゃぎで繰り返しあそぶ子どもたち。pipioの時間はそんな子どもたちのエネルギーとアイデアで成り立っています。
『親子あそびのえほん』には、普段から何気なくやっているシンプルなあそびをたくさん盛り込みました。「あ、このあそび、この歌知ってる!」というページがどこかにあるはずです。「なつかしい」という大人の声、「やってみたい」という子どもの声が聞こえてきそうな絵本です。あそびに対象年齢はありませんから、パラパラとページをめくりながら、あるいはあそびのタイトルでピンときたものから、場所や時間を選ばずあそんでほしいと思います。
 おじいちゃんやおばあちゃんとお留守番のときは「お寺のおしょうさんが…」を。雨の日の室内あそびなら「新聞紙ランド」や「おさんぽすごろく」。電車の中や病院の待合室では、「どっちがいい?」など。お父さんがお休みの日は「からだゆうえんち」はいかがでしょう。またこの本の中では、絵本はあそび相手です。絵本が大好きな子も、なんとなく苦手という子も、たちまち絵本と仲よくなれるあそびを紹介しています。実地の経験で確信した、子どもたちからのリクエストが多いあそびばかり。あそぶ親子の笑顔が、しっかり思い浮かぶものばかりなのです。
 日々子どもたちを見ていると、どれだけあそび道具を目で追いかけているかに気づきます。ゲームや本がないときは、替え歌、ダジャレ、質問攻め…で大人のリアクションを待っています。心が沈んでいるとき、すねているときも、「あそぼう」の一言でリセットされてしまうことがあるから不思議です。毎日の生活の中で「あそぼう」という魔法のことばが、自然に口から出るようになることを願っています。あそびの種はごく身近なところにありますし、あそびはどの瞬間にも生まれようとしているのですから。

(たけもと・かなえ)
●本書がpipioの初の著作。筆者の既訳書にシャルメッツ『くるくるかわるねこのひげ』など。

『親子あそびのえほん』
あすなろ書房
『親子あそびのえほん』 
武本佳奈絵・文
平澤朋子・絵
本体1、600円