日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私の新刊
『どうぶつドドド』 矢野アケミ

(月刊「こどもの本」2015年12月号より)
矢野アケミさん"

みんなつながる動物ドミノ

 久しぶりにドミノ倒しをしました。昔テレビで見たのをまねて、消しゴムやカセットテープ、ビデオテープ、本など、身の回りのものをたくさん並べてやってみました。
 はじめのひとつをちょん! と倒すと、パタパタパタパタ次々に隣のものが倒れていきます。そして全部倒れたあとは、それぞれに立っていたものたちが重なり合い、ひとつながりになりました。その様子がなんとも爽快で、これを絵本にしたら楽しそう! と思い立ったのです。
 しかし、アイデア帳をひろげたところで私は考えあぐねました。ドミノ倒しは、実際にやった方が楽しいに決まっているのです。あの爽快さはやらなきゃ味わえません。このまま絵本にしたって面白くもなんともないのです。
絵本の中でしか出来ないドミノ……。絵本の中だからこそ楽しいドミノってなんだろう……。
 そこで思いついたのが、動物ドミノだったのです!
 さてさて、どんな動物を並べようかな? と考え、いちばんに浮かんだのはネズミでした。ほ乳類の共通の祖先は小さなネズミのような生き物だったそうです。それが多様に進化し、私たちヒトや、あんな大きなゾウにまでなっているのですね。それぞれ大きさも形もさまざまな動物たち。でもその命
はみんなつながっているのだなぁ……。
 と、そんな思いを巡らせつつ、動物たちの命のつながりをドミノ倒しに密かに重ね合わせ、小さなネズミから大きなゾウまでが倒れて重なり、ひとつながりになる、『どうぶつドドド』を創り上げたのでした。
 でも、そんな能書きは抜きにして、いろいろな動物たちがドドドと倒れる様子をシンプルに楽しんでいただけたらうれしいです。
 なお、私たちヒトは、ちょん! と、ねずみを倒す指だけの出演となりましたが、読者のみなさんはどうぞお好きな動物の隣に並んで、ドドド! と倒れてくださいね。

(やの・あけみ)
●既刊に『ぐるぐるカレー』『ジェリーのあーなあーな』など。

『どうぶつドドド』
鈴木出版
『どうぶつドドド』
矢野アケミ・作・絵
本体1、200円