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子どもの未来を築く読書・教育の環境


 「読書は私に悲しみや喜びについて思い巡らす機会を与えてくれた。本の中にはさまざまな悲しみが描かれている。私が自分以外の人がどれほどに深くものを感じ、どれだけ傷ついているかを多く気付かされたのは本を読むことによってでした」。かつて美智子皇后がインド・ニューデリーで開かれた国際児童図書評議会にビデオテープで届けられた講演の一節である。東日本大震災の被災地でも、優しくいたわり、励まされる皇后のお言葉にどれほど多くの被災者が力づけられたことか。皇后の、その御心の源泉が少女時代の読書にあったという事実ほど子供の未来にとっての読書の大切さを実証する事例を知らない。

 一男三女の子宝に恵まれたわが家でも、当時の一般家庭の例に漏れず子育ての主役は家内。家内がとくに力を入れたのが読み聞かせだ。親子の心の交流にずっと役立ったという。 英国・バーミンガムで誕生し、いま我が国でも各地に広がる民間の「ブックスタート」制度は、赤ちゃんが言葉と優しい心を育むために抱っこの温かさの中で本を読み聞かせる運動だ。家内はそれに一も二も無く協賛した。

 私も「金帰火来」の代議士生活の中で、たまの休日には子どもたちをしばしば市立図書館に連れて行ったが、そのせいで大人になっても図書館の利用が習慣になっているようだ。

 自身を振り返ると、国際子ども図書館づくりに推進議員連盟を立ち上げて奔走したことなどの原点はそこにある。

 国際子ども図書館推進議員連盟を発展的に改組した子供の未来を考える議員連盟が主催する、今年で11回目を迎える「日中韓子ども童話交流事業」の開会式は、国際子ども図書館で行うことにしている。

 子どもたちの読書活動や体験活動が重要であることを普及・啓発するため、2002年の「日中韓国民交流年」に日本で初めて実施され、一昨年の9回目から中国、昨年は韓国開催と3か国持ち回り開催となっている。

 日本・中国・韓国の子どもたちが一堂に会し、各国の絵本・童話を通じて読書の楽しみを知ってもらうとともに、様々な活動を通じて相互の文化の共通性や特徴を理解する機会を提供するものだ。

 子どもたちにとって、国際子ども図書館は世界中の童話や絵本を通じて、無限に広がる物語の世界の入り口となることだろう。

 国際子ども図書館の益々の発展充実が日本、中国、韓国にとどまらず、世界の子どもたちが「読書」を愛し、親しみ、豊かな心を持ち、世界平和に貢献する機縁となることを祈念し、今後とも応援を惜しまないことをお約束する。

 *本文は、当会会報『国立・国際・子ども図書館』第33号(2013.6)に掲載されました。


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