日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私の新刊
『おかおになあれ!』 藤本典子

(月刊「こどもの本」2014年11月号より)
藤本典子さん

読書が苦手な子たちに絵本の扉を開く!

 これは、最初に作った3冊の絵本のひとつです。やっと出版できました!

 ページをめくると、色々なお菓子があらあらお顔に!

 お菓子とお顔という子どもたちが大好きなものが両方楽しめる絵本です。小さい子どもたちには、アーンと食べさせてあげたり、小学校低学年には、どのお菓子が目や鼻になるか考えてもらったり。色んな年齢でそれぞれの楽しみ方がある絵本に仕上がりました。

 私が児童館に勤めていたとき、コトバの問題を持つ子どもたちが多い地域に赴任したことがありました。

「いらん」「くれ」「あかん」「ええわ」全部会話が単語です。

 コトバで気持ちを伝える力がないからすぐに手が出る足が出る。ケンカが絶えない日常でした。

 絵本からコトバを豊かにできないかと開架で絵本を壁一面に並べたりもしましたが、壁のシミみたいに見向きもしてくれない。

 本は勉強じゃない。楽しいものだよ。彼らの好きなお菓子が出てくる絵本なら興味を持つかな?

 まったく絵本に興味のない子どもたちに絵本の扉を開きたい一心で、悪ガキ御用達の駄菓子屋のお菓子を買いこんで最初のダミーを描きました。

 それから何度も作りなおし内容は変わっていますが、読み手と子どもたちがワイワイ楽しめる絵本にしたい。その最初の想いはそのまま受け継がれています。

 制作中に、子どもたちと「お菓子でお顔を作る」ワークショップをしました。お菓子を積み上げて顔にしたり、食べていくと顔が変わったり。

 でも一番人気だったのは、ラーメンのスナック菓子4本で作ったシンプルな顔でした。意表をつかれました。


 子どもたちってホント面白い!

(ふじもと・のりこ)●既刊に『ケーキになあれ!』。

「おかおになあれ!」
BL出版
『おかおになあれ!』
ふじもとのりこ・作・絵
本体1,000円