日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私がつくった本48
ひかりのくに 加藤典康

(月刊「こどもの本」2013年9月号より)
3さいからのユーモアえほん ハブラシくん

『3さいからのユーモアえほん ハブラシくん』
岡田よしたか/作・絵
2013年9月刊行予定

 今回「私がつくった本」としてご紹介するのは、岡田よしたか/作・絵『ハブラシくん』です。

 岡田先生は、お仲間からは「モンキーさん」と呼ばれています。その風貌と、「生まれはてんのうじどうぶつえん」などと言いふらしているからです。(ほんとは、大阪の東の方らしい。)

 モンキーさんの絵本の主人公は、旅に出ます。ちくわは、口笛を吹きながらののんびり旅ですし、きつねうどんは、忙しい店主に替わって自分で自分の出前にとび出しますが、まっすぐにたどり着かずに、やっぱり長い旅になってしまいます。

 モンキーさんは、旅が好き? そう、若い頃はアメリカ大陸を旅したこともあるそうです。荷物もあんまり持たないかわりに現地で買ったギターを担いで…。何を隠そう、モンキーさんの特技は、本場アメリカ仕込みの「ブルゥ~ス」なのであります。

 というわけで、私たちの「ハブラシくん」も、持ち主のさとしくんが歯磨きをさぼるので、退屈のあまり家をとび出し、旅立ってしまいます。

 モンキーさんも、絵本の主人公もそうであるように、ハブラシくんも荷物は持たず手ぶらです。それでも、だいじょうぶ、出会いの中でな~んとかなっていくのです。

「たまには歯磨き粉以外のもんものせてみたいな」と歩いていると、ソフトクリーム屋さんが…。「ソフトクリームちょうだい! おかね持ってないけど」と声をかけると、店のおっちゃんは、「まあハブラシやったら、しゃあないな。ひとつあげるわ」(ラッキー!)と…。

 これからのストーリーは、ついいたずら心からネコに追いかけられたり、そのピンチをお鍋に助けられたり、恩返しをしたり…ついにはハブラシが歯医者!へと、ぐんぐんおもしろく展開していくのですが、後は絵本を読んでくださいね。

 モンキーさんの絵本は、掛け合い漫才のようなやりとりの、ゆるーいユーモアが特徴なんですね。でも、こういうユーモアの感覚って、ちょっと年齢が上がって、言葉が流暢に使いこなせるようにならないと理解できないかもねえ、と私たちは思い込んでいました。ところが、保育園で読み聞かせをしてもらうと、2歳児や3歳児が、笑う笑う、ハブラシくんのつぶやきに、ツッコムツッコム!

 だから、私たちは、ユーモア絵本をシリーズ化することに決めました。そして、そのタイトルも思い切って「3さいからのユーモアえほん」に。これは「幼く底の浅いユーモア」ということではありません。大人も楽しめる味わいのあるユーモアは、幼い子どもも、しっかりわかってくれるってことからなんです。『ハブラシくん』、小さな子から大人まで、みんな、読んでくださいね~。