こどもの本

私の新刊
『王妃たちの物語』 加藤真理子

(月刊「こどもの本」2018年6月号より)
加藤真理子さん

王妃の一生とは何か

 クリスタルのシャンデリアが照らす大理石の回廊で毎夜繰り広げられるダンスパーティー。その中心にいるのがダイヤの首飾りを着けた王妃。

 刺繍やビーズが豪華にあしらわれたドレスを日に何度も着替えて、好きなことしかしないため召使たちを困らせているのは王女。

 王妃、王女、クイーン、プリンセスというと、美しく着飾り豪華な宮殿で贅沢三昧、わがまま放題という女性を想像しませんか。

 しかし『王妃たちの物語』に登場するクレオパトラ、ポカホンタス、エカチェリーナ、マリー・アントワネット、エリザベートは、そうではありません。彼女たちは、多くの苦悩を抱え、多くの決断を迫られ、多くの悲しみを経験しています。

 王妃として生まれたのではなく、運命に翻弄され、悩み、学びながら歴史に残る偉大な王妃となっていったのです。

『王妃たちの物語』には、クレオパトラがどのように運命と戦い、ポカホンタスがどのように自分の意志を貫いたのか、エカチェリーナがどうして大帝と呼ばれているのか、マリー・アントワネットは何の犠牲となったのか、エリザベートの悲しみは何だったのかなどが、わかりやすく描かれています。

 そしてこの絵本の、お話以上にすばらしいのが、飛び出す切り絵細工です。繊細で、色鮮やかで、優美な切り絵は、絶頂期の王妃たちの華麗な姿を生き生きとよみがえらせます。

『王妃たちの物語』は絵本ですが、子供も大人も楽しめる完成度の高い作品です。祖母から孫へ、母から子へ、お友達への贈り物として最適です。是非大切な方へ贈ってみてください。細やかな切り絵の舞台に心が癒やされ、満たされるはずです。

 最後に、訳者として、この『王妃たちの物語』の続編、アジア版の製作を期待したいと思っています。東洋の王妃たちが、美しく繊細な切り絵でよみがえる姿を読んでみたいと思いませんか。

(かとう・まりこ)

『王妃たちの物語
大日本絵画
『王妃たちの物語 5つのとびだす場面つき』
カミーユ・ヴォン・ロザンシルド・文
エレーヌ・ドゥルヴェール・絵
加藤真理子・訳
本体2、900円