日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

我が社の売れ筋 ヒットのひみつ3
『学校で知っておきたい著作権』 汐文社

(月刊「こどもの本」2018年5月号より)
『学校で知っておきたい著作権』
『学校で知っておきたい著作権』
リニューアル
『学校で知っておきたい著作権 全3巻』
小寺信良著 上沼紫野・他監修
2017年3月刊行

 今回ご紹介させていただく書籍は、2017年汐文社刊「学校で知っておきたい著作権」全3巻です。著作権をテーマにした小社の書籍は、「イラストで学べる著作権」全3巻が、既に2004年に刊行されており、その販売動向は近年まで動きを継続するものでした。その動向を受けての発刊となったものです。テーマが学校内や個人においても日常的に関わる事項であることに加え、近年の情報ツールの変化を鑑み、新たな企画ではありませんが、旧版の刊行より、早や十数年を経過していることなども考慮してのリニューアル刊行となったわけです。

 刊行初期から予測はあったものの、やはり売行きは比較的良好な動向をたどりました。権利に対しての意識と法の抵触の危険性が近年注視され、かつ一般にも認識されていることが背景にあることは想像に難くありません。このようなことから、過去の実績や動向、時代の変化により、必要とされるテーマであればリニューアルしての発刊も、より効果的であることが実証されたのではないかと思われます。重版を重ねる児童文学書や絵本の動向とは異なり、当該のテーマは実用に近いテーマであるため、時代とともに内容も改訂していかなければなりません。とは言え、必要とされないテーマを発刊する訳にもいきません。また、その当時好評であったものでも、いま受け入れられるかどうかは、未知数でしょう。この見極めが難しいのも事実です。そのため、既刊実績や現場の声といった情報収集なども必要となるでしょう。最後は感覚かもですrが……。

「我が社の売れ筋 ヒットのひみつ」というほど極意でもなんでもないことですが、図書館向け書籍として、同テーマで過去発刊していたとしても、求められるテーマであれば、より新しい情報を提供することを視野におくことが、売れ筋を作り出す要因のひとつではないかと考えられます。また、別の視点から鑑みるに、古くなってしまった情報やデータの掲載書籍から最新の情報を反映した書籍への入れ替えの促進をお願いすることで、なかなか進まない図書廃棄を促す一助になればとも考えます。「ヒットのひみつ」から道を逸れてしまいましたが、もとの道に戻ります。今回ご紹介いたしました「リニューアル」は、従来より各社も取り組んできているひとつの方法にすぎません。しかしながら、新規企画の立案、開拓や近況動向の把握はとてもたいせつなことですが、時代の変遷を鑑み、たどってきた足跡をふり返ってみることもよいのではと……。

(汐文社 樋口 勝)