日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私がつくった本32
ひかりのくに 窪田 愛

(月刊「こどもの本」2012年2月号より)
ゆびあそぶっく

ゆびあそぶっく
『つつつつつー』
『ちょんちょんちょん』
かしわら あきお/作・絵
2011年7月

「ゆびで たまごに ちょん ちょん ちょん、どうなる どうなる?(ページをめくると、たまごが割れる)ぴよ ぴよ ぴよ、ひよこさんが うまれたよ。」この「ゆびあそぶっく」シリーズは、擬音に合わせてイラストを指でつつつーとなぞったり、ちょんちょんと指さしたりして、本に参加して遊べる絵本です。

 新米お父さん・お母さんでも、子どもを喜ばせられる本を作りたい!と思ったのがきっかけで、この本は出来ました。実は、私は入社したてホヤホヤの新米で、本を作るのも初めて、保育の経験もゼロ、右も左も分からない…という状況でした。そんな新米の私だから作れる楽しくふれあえる本を作りたかったのです。

 どうしたら喜んでくれるのか? 分からないことは本人たちに聞くのが一番!と、保育園の0〜2歳児クラスにお邪魔して色んな本を読ませて頂きました。すると、ある子どもの行動が目に留まりました。「あー、あー!」まだ言葉が話せないのに、懸命に指をさして何かを伝えようとする1歳児のMくん。その時私は気づきました。(子どもは、口に出せないだけで、実はちゃんと物事を分かっているんだ!そして、それを手指を使って伝えようとしている!)衝撃でした。そして、ただ読むだけでなく、手指を通して子どもと親が意思疎通出来る本を作れたら、楽しくコミュニケーションが取れるし、喜んでくれるはず!と感じたのです。こうして、「ゆびあそぶっく」シリーズの原型は出来上がったのでした。

 では、イラストは誰が描くのか? この人しかいない! そう思ったのは、カラフルな色とシンプルでかわいいイラストで子どもを惹き付けると大人気のイラストレーター、かしわらあきお先生でした。依頼してみると「おもしろい! やりましょう!」と即座にOK! さらに、あふれんばかりのアイデアを見せてくれました。そのアイデアはどれも斬新で楽しくて、しかもかわいい。どんどん良くなっていく本を見て、こんなに楽しい本が出来てしまった!と感動してしまいました。そしてついに保育園の子どもたちに見せる時…! 大ウケでした。子どもの手を持って一緒にイラストのスイッチを押したり、ついでに子どものほっぺもつんつんしたり。とっても喜んでくれました。保育士さんにも「ふれあい遊びに使いやすい! しかも子どもが大好きなイラストだからずっと見てますよ。」「たった数日で本がボロボロになるほど人気でした!」との声を頂き、またまた感動で胸がすーんとしたのでした。

 そうして出来た「ゆびあそぶっく」シリーズ。実は次回作も今考え中です。子どもたちの意見を大切に、かしわら先生とさらに楽しい本を作っていきますので、こちらもぜひよろしくお願い致します!