こどもの本

私がつくった本69
誠文堂新光社 栁 千絵

(月刊「こどもの本」2016年1月号より)
理科好きな子に育つ ふしぎのお話365

見てみよう、やってみよう、さわってみよう 体験型読み聞かせブック
理科好きな子に育つ ふしぎのお話365
自然史学会連合/監修、『子供の科学』編集部/編集
2015年2月刊行
誠文堂新光社 栁 千絵

 自然史学会連合というのは、39の学協会が所属する研究者の団体です。学協会とはおなじみの日本動物学会とか、日本魚類学会などの学会のことです。第一線で自然科学を研究している専門家のほとんどはこの団体に所属しています。この本は、その会員の先生約190人に取材してつくったものです。
 もともとは自然史学会連合側から、連合全体でなにか1冊本をつくりたい、という相談が持ち込まれたことがきっかけでした。当時具体的なプランはなにもなく、私は『子供の科学』の編集長としてその相談を受けていました。本づくりをご一緒する相手として、39という学会の数とその幅の広さは魅力です。日本の自然史研究をリードする一流の専門家陣、しかも魚だろうと鳥だろうと、植物でも昆虫でも、きのこのような菌類から恐竜まで、ありとあらゆる自然史ジャンルをカバーできます。単純に1学会から10本でもお話を聞ければ、39×10で約400本!これは結構な財産になると思いました。
 折しも、書店では1日1話形式の読み聞かせ本が児童書コーナーをにぎわせていました。お店に行くたびに棚に増えていくタイトルをみながら、正直「売れそうだけどつくるのは大変そう」と思っていたところでした。でも400本できるなら、あのパッケージを形にするのもそう「大変じゃない」かもしれないのでは♪ そして私から企画を提案して、この本の制作は始まりました。
 ……結果として、大変じゃない、なんてことはありませんでした。完成まで波瀾万丈いろいろなことがありました(笑)。でももうひとつの予感、つまり「これは結構な財産になる」というのは大当たりでした。第一線で活躍している学者たち選りすぐりの、小学生が理解できる身近な自然にまつわる面白いお話が365日分集まりました。しかも子供のよくある「なぜ?」はもちろん、研究の最先端に関わる話まで、幅広く収録することに成功したのです。
 昨年2月の発売以来、1ヶ月もたたないうちに重版がかかり、現在3万部を突破しています。「専門家の名前が各ページにクレジットされているのがいい」「子供のなぜ?どうして?に正しくこたえられる」「大人でも知らない話がのっている」「やってみよう、観察してみようなどのコラムが自由研究に役立つ」などなど、他の読み聞かせ本にはない点にも好意的なご意見をたくさん頂いています。プレゼントに喜ばれるよう、特殊印刷でキラッキラにさせたカバーも自信作です。
 是非一度書店でお子さんと一緒に中を見て、そしてお子さんに自由にページをめくらせてあげてください。隠れていた好奇心が目を覚ますページがきっとあります。研究者がお裾分けした本物の科学の力に触れて頂ければ、その後の人生変わりますよ。