すがたをかえるたべもの しゃしんえほん (第2期・全5巻)
宮崎祥子/構成・文、白松清之/写真
2014年11月〜2015年3月刊行
ある日のこと、おでんの「こんにゃく」を食べていたときに、ふと思った。こんにゃくってどうやってできるのかな? 何からできるのだっけ? いもだっけ? 海藻だっけ? それじゃあ「とうふ」は?「みそ」や「しょうゆ」は? とつぎつぎと疑問がわいてきた。毎日のように食べているというのに、どうやってできているのか、よくわからない。
このでき方を、絵本仕立てでやったら、子どもたちにとってもおもしろいのではないだろうか? そう考えて、企画がスタートしたのは2012年。様々なところをライターの宮崎さんとカメラマンの白松さんとともに取材してまわることになった。
このシリーズを通して、一貫して決めていたことは、大きな工場ではなく、小さなところを取材させていただこうということだった。その方が昔から受け継がれてきた手法がわかるだろう、ということと、すがたをかえていく様子をダイレクトに見せることができるのではないか、と考えてのことだった。
しかし、そういった取材先をさがすのは予想以上に困難を来した。見つかったとしても、何時間も、何日も追いかけなければならないこともあり、取材を断られてしまうこともたびたびあった。
こんにゃくの取材先もなかなか決められずにいた。全国生産量の9割を占める群馬県にしぼって取材先をあたっていたが、多くは機械化された工場だった。また、こんにゃくは、こんにゃく芋を粉にした精粉をもとにつくるのが一般的で、こんにゃく芋そのものからつくる、昔ながらの生芋こんにゃくをつくっているところも非常に少なかった。
「お茶」の取材先さがしもまた簡単ではなかった。茶つみから、製造、販売までをひとつのところで手がけているところはあまりなく、農家、製造工場、販売と分業になっているところがほとんどだった。また、「手もみ茶」という機械をつかわずに、人の手で8時間ももみこんでつくられる手法があり、その様子を取材させてくれるところがなかなかなく、その時期も5月のはじめだけと決まっていた。
そんななかで、ようやく見つけた取材先は、どこもとても協力的で、子どもたちに食べ物のでき方をわかってもらえるのはうれしいこと、といって、無理なお願いも聞き入れてくれ、根気強く取材に応じてくださった。
そのおかげで、伝統の味を受け継ぐ、多くの職人さんたちに会うことができた。
みなさん、ぜひ、すばらしい職人技をご覧ください。
本シリーズで、食べ物の魅力はもちろんのこと、昔から受け継がれてきた伝統食は、とてもよくできている!ということを、少しでも感じてもらえたらいいなと思います。