日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私の新刊
『ビブリオバトルを楽しもう』 粕谷亮美

(月刊「こどもの本」2015年2月号より)
粕谷亮美さん

ビブリオバトルを楽しもう!

 頁をめくるのが惜しくて、ゆっくりじっくり読んだ本。「うん、わかる、わかる!」と思わず頷いてしまった本。頭のてっぺんからつま先まで衝撃が走った本。

 そんな本と出会ったときの想いを人に伝えたくはなりませんか?

 お気に入りの本を持ちよって集まり、5分間で紹介。その後2〜3分のディスカッションをして、皆が一番読みたくなった本がチャンプ本になる。それがビブリオバトルというゲームです。

 どんなに話が長い人も、あまり話すのが得意ではない人も、持ち時間はきっかり5分! カウントダウンタイマーを使うので、発表する人はもちろん、聞いている人にも緊張感がピリリと走ります。話が佳境に入ったときに、無情にも終了のベルがチン! 「ええっ、その先どうなるの? 気になる〜」と思ってもらえたらしめたもの。参加者は読みたくなった「本」に投票するので、決して発表が上手でなくても、チャンプ本になることだってあるのです。

 そうやって見事チャンプ本に輝くと、カキーンとホームランを打ったような爽快感! 勝敗のつくビブリオバトルは〈書評のスポーツ〉とも呼ばれています。当然、負けるとくやしい! 「よし、次はあの本で勝負しようか」と意気込んだりして。そんなことで、すっかりこのゲームにはまってしまうと、次回のビブリオバトルに向けて、いろんな本が読みたくなっちゃうのです。

 さて本番の日。うまく紹介できたのに、僅差でチャンプ本にはならず…。がっかりしていると、後ろからトントンと肩をたたく人。「その本、すごくおもしろそう…。貸してくれる?」って、今まで話せなかったあの人と、本をあいだにはさんでペチャクチャと楽しい時間が過ごせたりすることも…。

 そのビブリオバトルを子どもも大人も楽しくおこなうためのガイド的な本を出しました。ほどよい緊張感と爽快感、挫折感と高揚感、そしてコミュニケーションも深まるこのゲーム、ぜひ一度体験してみてください。

(かすや・りょうみ)●既刊に『あなたの知らない細菌のはなし』『あなたの知らないカビのはなし』『妖怪の日本地図』など。

「しゅくだいさかあがり」
さ・え・ら書房
『ビブリオバトルを楽しもう』
谷口忠大・監修
粕谷亮美・文
しもつきみずほ・絵
本体1,700円