日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私がつくった本60
教育画劇 髙松保江

(月刊「こどもの本」2015年1月号より)
わたしの木、こころの木

ロボカーポリー おはなしえほん(既3巻)
ROI VISUAL/原作
本田雅也/作、スペースラップ/絵
2014年1月〜刊行中

『ロボカーポリー』は〝助け合い〟をテーマにした幼児向けのアニメ作品です。パトカーのポリー、消防車のロイ、救急車のアンバー、ヘリコプターのヘリーが力を合わせ、街のトラブルを解決します。見どころは、ポリーたちが乗り物からロボットに変身して(!)レスキューするところです。

 出版社に転職して三か月。この「ロボカーポリーおはなしえほん」シリーズが初めての絵本編集となりました。原作アニメの魅力を活かしながら、絵本としても愛されるものを作るにはどうすれば良いか、右も左もわからぬまま、試行錯誤が始まりました。

 まず、アニメの設定を踏まえて、絵本オリジナルのお話を新作することにしました。お話は、アニメの脚本や漫画原作も手がけ、映像と出版物、両方のお話作りに精通している脚本家の本田雅也先生に依頼しました。絵もアニメの3DCGではなく、絵本らしく、やわらかな雰囲気を出すために、明るい色調の2Dイラストを描き起こすことにし、デザイン会社のスペースラップに依頼しました。

 キャラクターと設定以外は、すべてこの絵本のためにゼロから作っていくので、お話のプロットから、文、セリフ、レスキューシーンの描写、キャラクターのサイズやポーズ、表情、出動シーンや変身シーンまで、すべてを権利元に確認する必要があります。

 時間も手間もかかりますが、やるからには、たんにアニメを焼き直すような作品ではもったいない、絵本ならではの面白さを追求したい、と著者の方々との手探りを続けました。映像では派手に見せる変身シーンを一枚の静止画で表現するにはどうするか、アニメに出てこないキャラクターを作ったらどうか、どんな方法でレスキューしたらワクワクする絵になるか、アニメが好きな子にもアニメを見たことがない子にも楽しんでもらうには…等々。

 レスキューシーンの描写で行き詰まっていた時、本田先生からレスキューに絡めて迷路のような遊びページを盛り込む案が提示されました。これなら、アニメで大事にしているレスキューのドキドキと、同じ場面に好きなだけとどまれる絵本の特性を活かした楽しみ方ができる! と、すぐに採用しました。結果、読者ハガキでも、そのページが大好きという声が多数届き、いまではこのシリーズに欠かせない人気ページになっています。

 そして、この冬、新刊『ポリーとびっくりサーカス』が完成しました。一年でシリーズ三巻という慌ただしいスケジュールの中、「私がつくった本」というにはほど遠く、絵本づくりも〝助け合い〟で成し遂げることができたと制作チーム・関係者一同に感謝しています。

 たくさんの子どもたちに楽しんで読んでもらえますように!