日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私の新刊
『ぼくはめいたんてい ハロウィンにきえたねこ』『ぼくはめいたんてい なぞのかみきれをおえ!』 小宮 由

(月刊「こどもの本」2013年12月号より)
小宮 由さん

新・名探偵ネート

 この度、「ぼくはめいたんてい」こと、名探偵ネート君の新刊が出ました。

「ぼくはめいたんてい」は、一九七二年、アメリカで一作目が発表され、以来、二十六作品が出版されている人気のミステリーシリーズです。

 日本ではこれまでに、十二冊が翻訳されていますが、十一年ぶりに、もう五冊が仲間に加わります。

 今回は、ハロウィンに子ねこがいなくなってしまったり、やぶられたなぞの紙切れを追跡したり、外国でなくなったものを探したり、犬のスラッジになぞのバレンタインカードが届いたりと、どれも楽しいお話ばかり。さらに、他とは少しちがい、ネート君が読者になぞ解きのレクチャーをしながらお話が進む、といった巻も来春発売されます。

 この本の翻訳中、残念なことが一つありました。挿絵を担当している、マーク・シーモントが、今年の七月十三日に、九十七歳で亡くなってしまったのです。ニューヨークタイムズの訃報記事を読むと、こんなことが書いてありました。

 ロバート・マックロスキーが、『かもさんおとおり』を作るために、マンハッタンのアパートのバスタブで、本物のかもを飼っていたことは有名な話ですが、その時のルームメイトが、シーモントだったそうです。二人は同じ学校に通っていて、マックロスキー(当時二十七歳)が、かもをアパートに持ち込んだ時も、シーモント(当時二十六歳)は快くサポートし、マックロスキーのコルデコット賞受賞に貢献した、とあったのです。

 のちに数々の名作を生み出す二人に、こんな接点があったとは驚きでした。その後、シーモント自身も、『木はいいなあ』で同賞を受賞します。

 本シリーズは、最初の六冊を光吉夏弥先生が、次の六冊を神宮輝夫先生が訳されていて、大変なプレッシャーでした。これまでの文体を踏襲し、どの作品から読んでも、違和感のないように、簡潔にリズム良く訳したつもりです。一人でも多くの読者に読んでもらえたら幸せです。

(こみや・ゆう)●既訳書にC・C・ムーア『クリスマスのまえのよる』、J・ガントス『あくたれラルフのたんじょうび』など。

「ぼくはめいたんてい ハロウィンにきえたねこ」 「ぼくはめいたんてい なぞのかみきれをおえ!」
大日本図書
『ぼくはめいたんてい ハロウィンにきえたねこ』
『ぼくはめいたんてい なぞのかみきれをおえ!』
マージョリー・W・シャーマット・ぶん
マーク・シーモント・え
小宮 由・やく
本体各1,200円