日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私がつくった本50
星の環会(牛の会) 中野幸隆

(月刊「こどもの本」2013年11月号より)
児童文学アンソロジー読書リレー2(全3巻)

児童文学アンソロジー読書リレー2(全3巻)
日比茂樹、皿海達哉・他/著、長野ヒデ子・他/絵
2013年2月刊

 児童文学アンソロジー「読書リレー2」は、二〇一〇年に刊行した「読書リレー」(全三巻)の継続シリーズです。「読書リレー2」も小学校低学年向け・中学年向け・高学年向けの三分冊です。一〜二年生を対象とした『おにぎりにぎにぎ』、三〜四年生が楽しめる『サムライ志願』、五〜六年生に読んでもらいたい『頭蓋骨のたんこぶ』の全三巻です。

 各巻の表紙には共通の帯をつけました。帯のコピーは〈朝読・家読 すぐ読める短編集 ひとつの物語を読むと……つぎの物語も読みたくなります。心に届いた物語は……だれかに伝えたくなります。これが、読書リレーの始まりです。第一走者はあなたです。〉となっています。つまり、第一走者は最初の読者で、第二、第三走者(読者)へとバトンをつないでもらいたいと願い「読書リレー」にしたわけです。

 各巻の収録作品は、学校の朝読書や図書の時間に、家でもすぐに読み切れるような、短い物語や詩を選びました。また、読み聞かせに適した長さや内容も考慮したつもりです。『おにぎりにぎにぎ』には日比茂樹の表題作と七篇の物語と一篇の詩が編んであります。『サムライ志願』は庭野雫の表題作と八篇の物語と詩一篇。『頭蓋骨のたんこぶ』は皿海達哉の表題作と九篇の物語に一篇の詩で構成しました。いずれの巻も、子どもたちにリレーしてもらえるような、面白くて興味深い物語や、感動や共感できる質の高い作品を収録できたのではないかと密かに思っています。

 このシリーズの出版については、星の環会と児童文学同人・牛の会との提携で企画し、編集・出版・販売の各作業を分担しました。そのため、全巻の収録作品の作家は、すべて牛の会の同人です。

 牛の会は、東京学芸大学児童文学研究部の部誌「あかべこ」に作品を発表していた皿海達哉、日比茂樹らが、卒業後に創作活動を続ける目的で始めた同人です。昭和四三年に創立し、児童文学同人誌「牛」を立ち上げました。その後「あかべこ」の後輩や、大学以外の友人なども加わり、四十余年の歴史を重ね「牛」の発行を継続してきました。

 その間、皿海、日比の他に、何人もの作家や詩人を輩出しています。「牛」で発表した作品は、多くの出版社から上梓され、日本児童文学者協会賞をはじめ野間児童文芸推奨作品賞、小学館文学賞など様々な賞を授与した著作も多いです。

 そんな牛の会と星の環会の提携で実現したのが、牛の会アンソロジー「読書リレー」シリーズです。今回の「読書リレー2」は「読む楽しさ、読んでもらう楽しさ」が伝わると思います。おかげさまで読者からの反応もよく、朝読や読み聞かせにも手頃なシリーズと好評です。