日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私の新刊
『サーファーガール かがやく波に乗れ!』 麻生かづこ

(月刊「こどもの本」2025年3月号より)
麻生かづこさん

風を切って水面を走る

 わたしは海が大好きです!

 若いころは年じゅう海に行って真っ黒に日焼けしていました。時代も日焼けブームで、健康的な小麦色の肌が素敵とされ、皆こぞってサンオイルを塗って肌を焼いたものです。

 そのころはサーフィンブームでもあり、サーフィンをしないのにサーファーの格好をしたおかサーファー(今は死語?)も街にたくさんいました。

 それから時は流れ、今は美白の時代です。肌にダメージを与える紫外線をふせぐため、日焼け止めを塗って日傘をさして、日差しを避けるようになりました。もちろん、わたしも日焼け対策はバッチリしています。

 以前のようなサーフィンブームは去りましたが、若者や元若者の間で今もサーフィンは人気です。

 そんなサーフィンが、東京2020オリンピックで初めて五輪種目になりました。会場は千葉県九十九里浜の釣ヶ崎海岸です。九十九里浜はわたしが子どものころ、家族でよく海水浴に行った海です。その海でオリンピックが行われるなんて思ってもいませんでした。しかも日本人が銀と銅のメダルに輝いたのです。その活躍を見て、サーフィンの話が書いてみたくなりました。

 舞台はもちろん九十九里浜。どこまでも続く砂浜。青い海と濃い緑の松林。押し寄せる白い波。ちょっと冷たい海水。海の家の焼きハマグリ……。

 いろんな記憶がよみがえってきたと同時に、想像もふくらんできました。

 主人公は小5のひなた。引っ越した町でサーフィンに出会い、仲間とともに成長していく姿が。

 サーフィンの魅力は自然との一体感です。波の上をすごいスピードで滑っていく爽快感! いろんな技を覚え、どんどん上達していくひなた。

 母との葛藤や挫折を乗り越え、キッズサーフィン大会にのぞみます。

 大自然の素晴らしさ、そして怖さ。広大な海でくり広げられるサーフィンの楽しさを味わっていただけるとうれしいです!

(あそう・かづこ)●既刊に『はじめての夏とキセキのたまご』『ふしぎなフーセンガム』『いちごりら』など。

『サーファーガール
小峰書店
『サーファーガール かがやく波に乗れ!』
麻生かづこ・作/かわいちひろ・絵
定価1,760円(税込)