
早く出てきて! 赤ちゃんレスキュー
この絵本のアイデアが生まれたのはいつだったか正直はっきりしませんが、その辺りの時期、僕の家には一歳になったばかりの赤ちゃんがいました。赤ちゃんとの日常生活のなかでいつもうすぼんやり頭にあった気持ちから生まれた絵本だったかもしれません。
赤ちゃんはかわいい。でも、何を考えているかわからない。もちろん悪気はないけれど、怪獣だし、破壊王! いっときも目を離せない。そんなときに、赤ちゃんレスキューのような小さいスペシャリストがあらわれて、知らない間にすべて面倒を見てくれる。そんなことがあったら、楽しいし嬉しい。
そんな願望をラフにしてみたら、編集担当の方が「おもしろい!」と言ってくれて、企画が進みました。
企画が決まったら、すぐに調査をはじめました。赤ちゃんを助けるレスキュー隊のいちばんの参考資料になったのは、『め組の大吾』。もともと大好きな漫画だったので、なんども読み直しました。レスキューの隊長がキャップをかぶっているのは、その影響かもしれません。
破壊王の赤ちゃんは、ゴジラや、ウルトラマンに出てくる怪獣たちのイメージで描きました。ただし、赤ちゃんには危害を与えてはいけないので、痛そうに見えないか、けがをしそうに見えないか気をつけて……。そんなつもりはなくても、そう見えるだけで嫌ですもんね。
描いている最中も、子育ては続きます。赤ちゃんだった子は、もう二歳半です。一人で子どもを見ているとき、寝ている間にトイレに行こう! とか、お風呂に入ろう! とか思います。でもそんなタイミングに限って起きたり、泣いてもいないのに泣いてる気がしたり……。もう、ドキドキワクワクです。
ほら、いまから少しウトウトするからチャンスだぞ! 見てないから早く出てきて、うちの子の面倒を見てくれ、あかちゃんレスキュー! そんなことを思う毎日です。
(なかがき・ゆたか)●既刊に『人体ジェットコースター』『うさおとかめきちのマラソンたいかい』など。
ほるぷ出版
『しゅつどう! あかちゃんレスキュー』
中垣ゆたか・作
定価1,650円(税込)