日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私の新刊
『くまくんこぐまくんのバナナやさん』 乾 栄里子

(月刊「こどもの本」2024年12月号より)
乾 栄里子さん

バディものが好き

 昔からバディものが大好きでした。

 古いのを承知であげさせていただくと『傷だらけの天使』『ブルース・ブラザース』。新しいのも知っているとアピールさせていただけるなら『ピンポン』『セトウツミ』『最強のふたり』。絵本でしたら『ふたりはともだち』「バムとケロ」シリーズなどなど。

 個性の違うふたりがそれぞれの魅力を発揮するバディものは、おもしろさや味わいにあふれています。

 そうだ、バディものを書いてみようと思い立ち、くまくんとこぐまくんというコンビを思いつきました。

 ふたりがお店をやるお話にしようと決めて、思い出したのが子どもたちといっしょにフリーマーケットに出店したときのことです。

 家の中の不用品を自分たちで売るのですが、儲けたい気持ちを捨てきれない私とは違って、子どもたちはとにかく売れるのが楽しい。他の店に偵察に行って、少しでも安く売ろうとする長男。自分の使っていたおもちゃやカードを気に入る子どものお客さんがいると嬉しくなっておまけする次男。たしかに売れるのは楽しい。もともと不用品の処分なのでそれでいいのだと思い直し、売れないものは工夫をして何とか売ろうとがんばりました。

 そんな遠い記憶を掘りおこしながらくまくんとこぐまくんのお話はスタートしました。楽しくバナナを売ろうとするふたり、でもバナナが売れなかったらどうするかな? とあれこれ想像していると、なぜだかどんどんとぼけた雰囲気のお話になっていきました。

 最終的には、ゆるい空気ながらもいっしょうけんめい力を合わせてがんばる「楽しいバディもの」になったかなと思います。

 そして、何よりお伝えしたいことは松田奈那子さんが描いてくださったくまくんとこぐまくんが超絶かわいいということです。ちょっとだけ登場するさるくんもこれまたかわいい!

 そんな松田さんの絵を見ていただくだけでも、是非お手にとっていただきたい特別な一冊となりました。

(いぬい・えりこ)●既刊に「バルバルさん」シリーズ(西村敏雄/絵)、『おふろのぼうず』(石井聖岳/絵)など。

『くまくんこぐまくんのバナナやさん』"
文溪堂
『くまくんこぐまくんのバナナやさん』
乾 栄里子・作/松田奈那子・絵
定価1,650円(税込)