日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

我が社の売れ筋 ヒットのひみつ19
「ちいさなちいさなポコポコえほん」シリーズ 教育画劇

(月刊「こどもの本」2020年11月号より)
「ちいさなちいさなポコポコえほん」シリーズ

ページをめくるのがわくわく楽しい断面図絵本

さかいさちえ 作・絵
2008年3月~刊行

 幼い子どもの頃、当時の女の子に絶大な人気を誇っていたおもちゃがありました。『こえだちゃんの木のおうち』『りんごちゃんおふろセット』と名前を聞けば、思い出す方もいらっしゃるのではないでしょうか。ぱかっと開くと、中にはとめどなく想像力広がる夢の世界。わくわくどきどきしながらぱかっと開く「しかけ」をきっかけに、豊かな遊びへと没入することができたのを思い出します。このぱかっのわくわく感を絵本でもお届けしたくて、断面図の楽しさをぎゅっと詰めこんだ、シリーズ1作目『ちいさなちいさなすてきなおうち』が始まりました。

 全シリーズを通して、絵本の冒頭は【これは せかいのどこかに すんでいる ちいさな ちいさな どうぶつたちの おはなし。】という出だしで始まります。よく、読者のお子さまから「ポコポコは何の動物なんですか?」「ポコポコは男の子ですか? 女の子ですか?」という質問をいただくのですが、これらは私たちにも答えられない質問です。きっとその答えは、読者のお子さま方ひとりひとりの心の中にあるのだと思います。小さくて、まるくて、毛がふわふわしていて、おしゃれで、帽子をたくさんコレクションしていて、おいしいものとわくわくするお出かけが大好きなポコポコ。そんなポコポコという存在を通して、自身の内から湧き上がる想像力に耳をすませ、絵本の世界で自由にのびのびと遊んでもらえたらこんなうれしいことはありません。

 今夏、最新刊『ちいさなちいさなうみのおさんぽ』を刊行し、本シリーズも10作目となりました。シリーズからスピンオフで飛び出した「ポコポコおやつえほん」シリーズ5巻や、貼って遊べるシールブック『ポコポコとあそぼ!』など、派生絵本もたくさんのお子さま方に楽しんでいただいております。作者のさかいさんも、編集である私も、毎日送られてくるお絵描きカードや読者カードに、大いに刺激を受けながら、一冊一冊わくわく楽しんで作っているうち、いつのまにか100万部を突破していて、道が、ここまで続いてきました。読んでくださるお子さまの成長とともにシリーズも成長していくのだなあ、と痛感しつつ、これからも見守ってゆきたいと思っております。

(教育画劇 清田久美子)