困難を乗り越えた先に
『海色ダイアリー』は、両親を亡くした五つ子の兄弟が、力を合わせて生きるお話です。
そんな五つ子を主人公の女子中学生、結亜がそばで見守りながらも彼らに学ぶこともあったり、ときめいたり、時に怒ったり悲しんだり、笑いがあったり……。
どこかにありそうな海のそばの街が舞台なので、読者さんも作中に入り込んでくれたらなと思いながら世界観を構築しました。
そして、『海色ダイアリー』は、作家になって10年目を迎えた私の集大成でもあります。
令和の時代の子供達に寄り添えるようなお話にしました。
私達は今、大変な世の中で生きています。
だからこそ、困難を乗り越え、その先に明るい未来が待っているような話にしました。
読者さんに寄り添えるような、お母さんと子供が一緒に読めるような物語が私の『海色ダイアリー』です。
私自身、学生時代に母を亡くしました。
母は私を深く深く愛してくれました。
失って初めて気がつきました。母が、私に無償で愛を与えてくれていた特別な存在だったことを。
愛された記憶は私の中に残っています。そして、喪失感も共に深く心に刻まれています。
こんな辛い思いをするなら愛情なんて知りたくなかった! と、自暴自棄になったこともありましたが、今は母が私に無償の愛をくれたことを誇りに、なんとか自分の足で立っています。
母の愛を知っているから、私は今小説を書けています。
母や家族、周りの友達、読者さん……皆さんからもらった愛情を詰め込んだのが、『海色ダイアリー』です。
(みゆ)●既刊に『通学電車~君と僕の部屋~』『流れ星のように君は』など。
集英社
『海色ダイアリー』(既2冊)
みゆ・作/加々見絵里・絵
本体各640円